【ゴルフ】女子ツアーでアマ旋風が起きている「4つの要因」 (4ページ目)

  • 古屋雅章●文 text by Furuya Masaaki
  • 小内慎司●撮影 photo by Kouchi Shinji

 実際、勝みなみや森田遥も、ナショナルチームで受けた指導の効果は大きいと口をそろえる。

「ナショナルチームの合宿で受けたメンタル面の指導が、(ツアーを戦ううえで)大いに役に立った」(勝)

「普段の生活面(食事やコンディショニング)からトレーニングの指導まで、いろいろとサポートしてもらえるので、ナショナルチームに入っているといないとでは、だいぶ違います」(森田)

 確かに、今季活躍しているアマチュアの顔触れを見ても、ほとんどがナショナルチームのメンバーか、元メンバーである。昨季ツアー2勝を挙げた比嘉真美子(20歳)や堀奈津佳(21歳)も同様だ。ナショナルチームの強化体制が、若手選手の飛躍を支えていることは間違いなさそうだ。

(4)豊富な国際経験

 ナショナルチームのメンバーになると「派遣試合」として、年間数試合の国際大会に出場できる。さらに「個人派遣」といった形で、海外の試合に出場する機会も得られる。そうした国際経験の豊富さも、今のアマチュア選手の強さにつながっている。

 というのも、彼女たちの意識が、世界にあるからだ。ゆえに、今のジュニア世代は求めているものが非常に高く、さまざまな技術を兼ね備えている。そのうえで、国際舞台のライバルである世界中のアマチュア選手が、プロのトーナメントで結果を残していることも大きい。その事実を、リアルに自分に置き換えて考えているのだ。森田遥が言う。

「ナショナルチームの『派遣試合』で一緒になった、ミンジー・リー(17歳。オーストラリア)やキム・ヒョージュ(18歳。韓国)がプロの試合で勝っているから、自分も頑張らなければいけないと思っていますし、彼女たちの活躍には刺激を受けています」

 以上、女子ゴルフ界における「アマチュア旋風」の要因を探ってきたが、ここに挙げたことがすべてではない。背負うものが増えるプロ選手と、自分のためだけに戦うアマチュア選手とのプレッシャーの違いなども、少なからず影響しているかもしれない。

 ともあれ、ジュニアのゴルフ環境が充実している今、これからも続々と強いアマチュア選手が出てくるはずだ。しかも、2016年リオデジャネイロ五輪からゴルフが正式競技になったことで、今後さらに多くの子どもたちがゴルフを始めても不思議はない。底辺拡大によって、日本女子ゴルフ界では才能ある選手が生まれる可能性がますます膨らんでいる。

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