【ゴルフ】女子ツアーでアマ旋風が起きている「4つの要因」 (2ページ目)

  • 古屋雅章●文 text by Furuya Masaaki
  • 小内慎司●撮影 photo by Kouchi Shinji

 周知のとおり、発端は2003年のミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン、アマチュアの宮里藍が当時の史上最年少記録(18歳3カ月)で優勝を飾ったことだ。そのときから、日本では空前の「藍ちゃんブーム」が巻き起こった。その宮里藍を"ロールモデル"として育った子どもたち、つまり「藍ちゃんキッズ」が、今活躍しているアマチュア選手たちであることは間違いない。

 ここ数年、日本ツアーで躍進している若手プロたちもそうだ。20歳前後のプレイヤーは、ほとんどが「藍ちゃんキッズ」言えるだろう。だが、宮里藍の影響を中学生のときに受けるのと、小学生のときに受けるのとでは、明らかに違う。ゴルフを始める年齢が若いほど、吸収力も速いし、上達度も高いはずである。

 日本選手では宮里藍以来のアマチュア優勝を飾った勝みなみをはじめ、今アマチュアとして活躍している選手たちが、そのより若年層から本格的にゴルフを始めた世代。まさしく「藍ちゃんキッズ」の"本流"なのだ。だからこそ、プロにも引けをとらず、結果を出せるのだろう。

(2)ゴルフ大衆化の恩恵

 1967年に日本で初の女子プロゴルファーが誕生し、翌年からトーナメントがスタート。当初(1960年代後半から1990年代にかけて)、選手の多くはゴルフ場のキャディーや従業員をこなしながら、そこで修行をして育った面々だった。当時はまだラウンドフィーが高く、ゴルフ場で働く者でなければ、十分なラウンド数をこなせなかったからだ。ゆえに、プロとして大成するにはかなりの時間を要し、トッププロの年齢はおおよそ30歳前後だった。

 そうした流れが徐々に変わり始めたのは、バブル崩壊以降だ。ゴルフ場の破たんが相次ぎ、ゴルフ場業界の再構築がなされた。結果、日本にもようやくゴルフの大衆化の波がやってきた。おかげで、一般的にも多くの人がゴルフを楽しむようになった。同時にジュニアの環境も整備され始め、普通の家庭環境にある子どもたちでもゴルフに触れる機会が増えていった。

 何より大きかったのは、ジュニアがラウンドする機会が増したこと。先述したとおり、バブルが弾ける1990年代初頭までは、ゴルフ場にジュニアゴルファーが出入りすることはほとんどなかった。ゴルフ場のメンバーが許さなかったのだ。しかし、バブルが弾けてゴルフ場業界が再編されると、ジュニアがラウンドするハードルも低くなった。今の子どもたちは、昔の子どもたちと違って、格段に多くのラウンド数をこなせるようになったのだ。

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