【ゴルフ】「大物ルーキー」藤田光里。悩み解消で爆発の予感 (2ページ目)

  • 野崎 晃●文 text by Nozaki Akira
  • photo Sports Nippon / Getty Images

「人間関係がうまくいかなかったというか、周囲の選手や関係者がすごくピリピリしているように見えて、怖かったんです。堂々とプレイしているように見えて、実際は気持ちもプレイも縮こまっていました。また、『結果を出さなければ......』と焦ったり、『また来週、予選落ちしたらどうしよう......』とか考えたり、かなりネガティブな思考になっていました」

「大物ルーキー」と騒がれながら、落ちつきのない表情の原因は、ここにあった。プロの世界における人との接し方に悩み、ツアーの雰囲気に馴染めなかったのだ。結果、開幕戦から3試合連続して予選落ちを喫した。

 しかし、試合を重ねるごとに、そうした悩みはすぐに解消されていったという。

「ツアーに慣れない当初は、キャディーをしてくれている妹と一緒にいることが多く、クラブハウスでもひとりぼっちのときがありました(笑)。でも今は、周りの選手やキャディーさんたちも話しかけてくれるようになって、すごく気持ちが楽になりました」

 そもそも、藤田の調子自体は悪くなかった。ゆえに、精神面が安定したことで、結果もついてくるようになった。4戦目のアクサレディス(3月28日~30日/宮崎県)で初めて予選突破を果たすと(45位タイ)、続くヤマハレディース(4月3日~6日/静岡県)では17位タイ。そして、スタジオアリス女子オープンでは、5位タイと躍進した。

「今回のスタジオアリスでは3日間、最後まで諦めることなく、粘り強く戦えました。大会トータルで、アンダーパーで回れたことは大きな成果です」

 本来の柔和な笑顔が戻った藤田。怖気(おじけ)づいていた表情は影を潜め、逆に自信が満ち溢れていた。

「私はもともと、人に見られたり、注目されたりするのは、嫌いじゃないんです。中学のときは、演劇の主人公に立候補したり、リレーの選手を任されたりして、常に目立つところにいましたから(笑)」

 そう言って、自身を取り囲む多くの記者たちを笑わせた藤田。元来目立ちたがり屋だけに、期待されることも決して苦ではないという。"プロの水"にも慣れた今、「大物ルーキー」がいよいよ爆発のときを迎えようとしている。

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