苦悩の石川遼「今の自分は『ゴルフ』をしていない」 (2ページ目)

  • 武川玲子●協力 cooperation by Takekawa Reiko text by Sportiva
  • photo by AP/AFLO

「難しくないホールでボギーを叩いたのが痛かった。スイングの調子は初日より良かった。いい手応えも感じられました。(池越えの難しい)15番、17番のショートホールでも、締まりのあるいいスイングができていた。18番でもドライバーでいいショットが打てて、バーディーで上がれた。初日にはできなかったことが2日目にはできた、ということはよくなっている証拠だと思う」

 そう前向きに語った石川だが、まだ完全に自信をつかんだ様子はないようで、昨年からの成長を問われると、石川は一瞬沈黙。苦しい胸の内を吐露した。

「今の時点では、大した成長はない。特に今日、昨日の内容では、まったく成長したとは思えない。本来、試合中にスイングのことをあれこれ考えないことが理想。でも、今はいいスイングに戻すために、試合中でもスイングのことを考えて、そこに重点を置いてしまっている。そのため、ここに球を運ぶんだ、というマネジメントがおろそかになっている。本当はいいスイングを作って、自分が思うようなところに無意識にボールを運んでいけるようにならなければいけない。正直、昨日とか今日は、まったくゴルフじゃないです。自分でゴルフをしているっていう感じがしない」

 米ツアー2年目の今季、すでに優勝争いを経験するなど、飛躍が期待される石川だが、現状はかなり厳しい状態にある。

「こういう時期もある、と今は思うしかない。自分がやっていることには疑問は感じてないので、『そのうちよくなるだろう』って、あまり気にしないでやれればいいな、と思う。結果は悪いけれども、その理由はわかっているし、やるべきことをやって、練習でやってきたことが試合で出せるようにしたい」

 米ツアー1年目の昨季は、レギュラーツアー中のシード権獲得はならなかった。それでも石川は、入れ替え戦を勝ち抜いて這い上がってきた。その"自負"と、今季はほぼシード権獲得を確実にしたことによる"自信"が、石川にはある。プレイする姿からも、昨季とは違う"たくましさ"が感じられる。何かきっかけをつかめば、すぐにでも浮上できるはずだ。

 次週は、WGCキャデラック選手権の"裏開催"となるプエルトリコオープンに挑む。2年前に2位となった舞台が、その"きっかけ"になるかもしれない。

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