【ゴルフ】有村智恵、始動。米ツアー2年目の飛躍はあるか (2ページ目)

  • 武川玲子●文 text by Takekawa Reiko
  • photo by Getty Images

 その後も厳しいシーズンが続いた。一度狂った歯車が戻ることはなかった。生真面目な有村は、ほぼゴルフ漬けの毎日を送ってきたが、結局シーズン終盤まで、自分のリズムを取り戻すことができず、日本では考えられないほどの予選落ちを喫し、予選通過を果たしても下位に沈んだ。

「1年目だから、出場する試合のコースをほとんど知らない。だから毎週、月曜日に移動したら、すぐにコースに出ていた。練習する環境も整っているから、ずっと続けてしまって......。もっとこうしなきゃ、ああしなきゃ、と考え過ぎて、どんどん変な方向にいってしまいましたね」

 シーズンを終えたあと、有村はそう振り返って苦笑した。ただ、厳しい状況の中でも、優勝争いに加わることもあった。5月のショップライト・クラシック(5位タイ)、6月のアーカンソー選手権(7位タイ)では、最終日最終組で回って、米ツアー初勝利に手が届くところにいた。

「あの2試合は、ともに"飛距離が必要ではないコース"という共通点がありました。ああいうコースなら戦える。でも、優勝争いをしても、どうしても優勝には届かなかった。この差を埋めるにはどうしたらいいのか、ずっと悩んできました。徐々にでもいいから、『自分のゴルフのスタイルはこうだから』と開き直れるようになれればいいな、と思っていました。あとは、小技ですね。いろいろな種類の芝にも対応できるように、もっと多彩な技術が必要です」

 とはいえ、米女子ツアー1年目である。そう簡単に結果を出せるものではない。自分なりに課題を見つけられただけでも収穫と言えるだろう。有村が語る。

「ルーキーイヤーの結果にはまったく満足できてないんですけど、『もうこれ以上はがんばれない』というくらい走り抜いてきました。そして、何も得られなかった日がないくらい、たくさんの経験をして知識を得ました。いろいろな経験をして、いかに多くのことを吸収できるかがいちばんの目標だったので、それは達成できたんです。アメリカの生活にも慣れたし、とにかく毎日、何かを得てきた1年だった」

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