復帰戦を飾った松山英樹。不完全の中で見せた「凄み」 (2ページ目)

  • 武川玲子●協力 cooperation by Takekawa Reiko
  • photo by Getty Images

「よくイーブンパーで終われたな、という感じ。いいショットも、悪いショットもあって、なかなか自分の思うようなスイングができなかった。それでも、アプローチはよかった。パターもまあまあ。そんなにすぐに結果が出るとは思っていないので、ゆっくり時間をかけてやっていきます」

 距離があって、難しいセッティングのサウスコースに挑んだ2日目も、10番スタートの序盤は、グリーンの速さに苦しんだ。10番、11番と連続ボギーとし、そのままガタガタと崩れていきそうな雰囲気さえあった。それでも、14番で8mのバーディーパットを決めると、グリーンの速さにも慣れて通算イーブンパーでフィニッシュ。66位タイで、ギリギリ予選を通過した。

「ノースコースに比べてグリーンが速くて、最初の数ホールは戸惑った。(ギリギリの予選通過に対しては)特に何とも思わない。残念でもない。それが(今の)自分の実力。イージーミスがあるのも、今の状態がよくない証拠。でも、それは自分の中で受け止められている。結果には満足していますし、2日間ラウンドして体の疲れもない。そういう面では、いい方向に向かっている」

 決勝ラウンドに入ってからも、松山のショットは精彩を欠いていたが、パットが冴え渡った。3日目にふたつスコアを伸ばして、順位は27位タイまで浮上。さらに4日目はこのトーナメント初の60台(69)をマークし、通算5アンダー16位タイで復帰戦を飾った。

「(結果には)満足しています。いい感じでラウンドできました。なかでも、パットは良かった。カップを外しても、ほとんどが惜しかった。一方で、ショットが酷かった。4日間通して、いいショットがほとんどなかった。それなのに、ここまでいいスコアだったことには手応えを感じています。(パターは練習の成果?)いや、そんなに練習はしていないですけど、これまでの米ツアーで学んだことを少しずつ生かせているのかな、と思います。もちろん、まだまだですけど......。いろいろな芝があって、次のトーナメントでまた違う芝に対応できるかどうかはわからない。まあでも、本当にいい1週間でした。次が楽しみ。体力もつけていかなければいけないし、どんどん試合をこなしていきたい」

 ショットに関しては、「自分のスイングができていない。(原因は)よくわからない」という松山。にもかかわらず、首位とはわずか4打差という結果を残した。フィル・ミケルソンが棄権し、タイガー・ウッズが3日目で姿を消す中で、松山の底力には目を見張るものがあった。このまま順調に試合を重ねて、本来の感覚を取り戻すことができれば、早々に結果を残しても不思議はない。復帰第2戦、1月30日から(2月2日まで)始まるウェイストマネジメント・フェニックスオープン(アリゾナ州)が楽しみだ。

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