「夢は東京五輪出場」渡邉彩香は女子ゴルフ界の大器 (3ページ目)

  • 佐藤 俊●文 text by Sato Shun
  • 小内慎司●撮影 photo by Kouchi Shinji

 のめり込むと、とことんやる性格の渡邉は、学校から帰ってくると毎日練習場に行って、ひたすらボールを打っていたという。飛距離もみるみる伸びて、地元・静岡県内のジュニア大会で奮闘し、中学3年生のときには全国大会でも輝かしい結果を残した。

 高校は、ゴルフをするために埼玉県の名門・埼玉栄高校を選んだ。両親は彼女の希望を尊重してくれたが、条件がひとつだけあったという。自宅のある静岡県熱海市から通うことだった。

「自宅から毎日、2時間以上かけて通学していました。でも、学校は楽しかったですし、部活も面白かったので、まったく苦になりませんでした。普通の高校生のように、買い物に行ったり、カラオケに行ったりして遊びたいと思ったこともなかったですね。私はスポーツクラスで、競技は違ってもクラスメートのみんなが、全国大会で結果を出すことを目指してがんばっている子ばかりだったんです。誰もが毎日部活に励んでいて、私も同じようにゴルフに打ち込んでいました」

 ゴルフに打ち込んだ3年間。高校3年生のときには、目標だった全国大会の団体戦で優勝を飾った。

「それが『プロになろう』と思ったきっかけでした。両親も含めて、周りの人たちは、私が当然プロを目指すと思っていたみたいですが、全国大会で優勝するまでは、(大学への)進学も考えていたんですよ。初めて、言いますけど(笑)」

 そして2012年、プロテストで一発合格し、2013年、プロ1年目でシード権を獲得した。渡邉のゴルフ人生は、まさに順風満帆。迎える2014年シーズンはいよいよ、ツアー優勝の期待がかかる。そのために今、渡邉は日々トレーニングに励んでいる。

「昨季は、リカバリー率(パーオンしなかったホールでパーかそれよりも良いスコアで上がる率)、パーセーブ率(パーかそれよりも良いスコアで上がる率)が悪かったんです。そこは大きな課題だったので、このオフはパティングやアプローチといった、ショートゲームの練習に力を入れています。

 同時に、フィジカルトレーニングもやっています。昨季の前半はツアーに慣れずに疲れて、コンディションを整えることぐらいしかできなかったんですが、夏以降は、週に1回は体に負荷をかける筋トレを始めたんです。そうしたらシュットが安定して、ドライバーの飛距離もさらに出るようになった。その重要性を知ったので、今でも継続しています。でも、あまり(体が)ムキムキになるのはどうかと思って、その辺はトレーナーさんに言って、メニューを調整してもらっています(笑)」

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