【ゴルフ】外国人記者が綴る「松山英樹は『お山の大将』ではない」 (3ページ目)

  • アンドリュー・ボス●文 text by Andrew Both 武川玲子●翻訳 translation by Takekawa Reiko
  • photo by Getty Images

 心配されるのは、日本のトップ選手はメディアから異常なほどの注目を集めることだ。石川は、その日のプレイの善し悪しにかかわらず、毎ラウンド後、10分~15分という長い時間をかけてメディア対応をこなしている。今や松山もメディアの“標的”となって、毎回同じような質問を繰り返し聞かれている。選手たちは、ときにかなりの息苦しさを感じているはずだ。それが、プレイに影響しなければいいな、と日々思っている。

 それでも幸いなこと(?)に、松山は日本のメディアから石川ほどの人気を得られていないようだ。というのも、松山は石川ほど陽気に対応しないし、言葉数も多くはないからだ。外国語としての英語力も、石川に比べて、松山は乏しい。

 そんな松山が、ウィンダム選手権の際には、アメリカメディアに囲まれて、通訳を介して笑顔で話をしてくれた。

「来季の(米ツアーの)出場権がとれて、すごくうれしい。ずっと米ツアーでプレイしたいと思っていたので、夢がかなった」

 そう第一声を放った松山は、来季に向けての意気込みを続けて語った。

「今季は、メジャーでいいプレイができた1年でした。それには、とても満足しています。でも、メジャーでプレイする度に、トップレベルで(互角の)プレイをするためには、練習しなければいけないことがたくさんあることがよくわかった。(海外メディアのみなさんが)僕のスイングを褒めてくれるのはうれしいのですが、飛距離に関しては、米ツアーの中ではその他大勢の選手の中でも真ん中くらい。(米ツアーで結果を出せるまでの)道のりはまだまだ長いですね。そういう意味でも、これから日本ツアーでプレイしますけど、(来季の)米ツアーに向けてしっかりと準備をしていきたい。そして、(来季の米ツアーで)シード権を維持できるようにしたい」

 松山は、石川と同じような人気を集めようとは思っていない、という話もしていた。

「遼の人気は、ゴルフ界にとっては素晴らしいこと」としながらも、「それは、僕が望んでいることでも、目標としていることでもない。僕は、コースで自分にとってのベストプレイをしたい。ただそれだけ。そうすれば、その他のことは、自ずとついてくる」

 このまま成長していけば、本人が望む、望まないにかかわらず、人気もついてくるだろうが、松山が何よりついてきてほしいと願うのは、結果だろう。

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