【ゴルフ】全英リコー女子オープン、6年前の再現となった佐伯三貴と宮里藍の明暗 (2ページ目)

  • テレビ朝日 全英リコー女子オープン取材班●構成 text by tv asahi RICOH Women's British Open crew
  • photo by Getty Images

 ピン方向には高い壁。「自分ではいけると思った」という宮里藍は、果敢にピンを狙ったが、ボールは無情にも土手に当たり、さらに条件の悪いバンカー内の壁のふちにとまった。脱出先を探して、すべての方向への構えを試みるが、結局第5打は「ゴルフ人生で初めて」というバンカー内へのレイアップ。6打目はなんとかグリーンに乗せるが、簡単に気持ちを切り替えることができず、3パット。奇しくも6年前と同じように、ひとホールで屈辱の『9』を叩いた。

 最終的に、この日7つスコアを落とした宮里藍。通算4オーバー、83位タイで予選落ちし、ホールアウト後のインタビューでは「(コースの)設計者の意図にはまってしまった」と苦笑いを浮かべた。これこそ、まさに"神と自然が創りたもうたコース"のゆえんなのだろう。

 それにしてもなぜ、"ゴルフの神様"は、これほどまでの試練を彼女に与えるのか。その理由は、宮里藍自身が最も理解していた。

「(運のなさやミスを引きずるなど)気持ちの切り替えがうまくできていなかった。そこら辺を今回、(セントアンドリュースが)また教えてくれた」

 6年前、"ゴルフの神様"に与えられた試練を乗り越え、世界のトップへと登りつめた宮里藍。大会前には、そのことを振り返って、セントアンドリュースに対しての感謝の気持ちを語っていた。

 それは、決して偽りではない。インタビューを終えると、宮里藍は真っ先にパッティング練習場へ向かった。会場に駆けつけていた父・優さんとともに、外し続けたパッティングのフォロースルーや、体重のかけ方などの調整を行なった。およそ1時間後、ふたりは納得した表情を浮かべて、最後は笑顔で会場をあとにした。

 これこそ、いつも自らを成長させてくれる"ゴルフ発祥の地"への感謝の気持ちだと感じた。今回の試練を糧にして、宮里藍は一段とスケールアップしていくに違いない。そしてその先に、悲願のメジャー制覇が待っているはずだ。

 一方、そんな宮里藍に代わって、大躍進を見せたのが、佐伯三貴だ。2日目、強風が吹き出す前の午前中にプレイして、6つもスコアを伸ばした。トータル9アンダーとし、トップと1打差の単独2位で予選突破を果たした。

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