【ゴルフ】全米オープン、ジャンボと中嶋常幸が認める「松山英樹に勝機あり」 (3ページ目)

  • 三田村昌鳳●文 text by Mitamura Shoho
  • 小内慎司●撮影 photo by Kouchi Shinji

 かつて、日本人選手がメジャー大会で勝つにはどうすればいいのか、中嶋常幸から話を聞かせてもらったことがある。それは、マスターズや全英オープンで優勝争いを演じた中嶋が、惜しくも敗れた原因を自身が分析したものでもある。

「突き詰めれば、経験の中で蓄積していく智慧(ちえ)なんですけどね。例えば、グリーンまで残り200ヤードで、選手が8番アイアンだと思ったら、それで(ボールは)届くんです。(プロの選手であれば)それができる。でもね、そこで、しっかりと6番アイアンで距離をコントロールできる選手が生き残れる。(目の前の一打に全力を傾けて)グリーンに乗った、バーディーをとった、だけでは勝てない。(4日間)72ホールは続かない」

 要するに、常に余力を持ったプレイができなければいけない。万一、限界を超えてしまうような1打を繰り出すと、その後のゲームコントロールが不能になる、というのだ。さらに、中嶋はこう続けた。

「あのとき(最終的に8位となった1986年マスターズ)は、技術も体力も(外国人選手と比べて)正直、劣っていた。それで、なんとか精神力でカバーしようとするんだけど、それじゃ、無理が生じる。つまり(心・技・体の)三位一体というのは、三角形でなく、横並び。しかも(世界で勝つには)それが高くないと……」

 こうした中嶋の言葉を、松山という選手に照らし合わせてみると、彼の体格、体幹、バネをもってすれば、体力的には世界でもひけをとっていない。しかも松山は、中嶋の言う、大きな番手でコントロールショットが打てる、パワーと技術を持っている。

 そして松山には、何事にも動じない、偉大なる鈍感力がある。初めて体験するコースとそのセッティングに、過剰に反応しなければ、精神的にも対応できるだろう。

 とすれば、勝機は十分にある。あとは、これまでに蓄積された智慧がどう働くか、だと思う。

第113回全米オープンゴルフ

テレビ朝日系列で地上波独占放送
【第1日】第1部 6月13日(木)深夜24時20分~(一部地域を除く)
      第2部 6月14日(金)あさ4時55分~
【第2日】第1部 6月14日(金)深夜25時20分~(一部地域を除く)
      第2部 6月15日(土)あさ4時45分~
【第3日】6月16日(日)あさ5時30分~
【最終日】6月17日(月)あさ4時55分~
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