【男子ゴルフ】5度目のマスターズ挑戦で、石川遼がすべきこと (2ページ目)

  • 三田村昌鳳●文 text by Mitamura Shoho
  • photo by Getty Images

 もうひとりの注目選手、石川遼は今季から米ツアーに本格参戦した。けれども、ここまでの成績は惨憺たるものだ。9戦して6度の予選落ち。下位低迷が続いている。

 それはまさに世界からの「洗礼」だ。今の米ツアーはひと昔前と違って、毎週ワールドカップの試合が行なわれているかのように、欧州、アジアなど世界中から強豪選手たちが集結。ハイレベルな戦いの場となっている。ゆえに、「世界の壁」にまともにぶつかっている。

 では、マスターズではどうだろうか......。

 石川の気持ちの切り替えだけが、キーになると思う。予選落ち、下位低迷の米ツアーの成績を、どういうふうに消化して、咀嚼(そしゃく)して、自分の中にしまい込めるかだろう。

 スタンフォード大のある教授が「若者たちには、失敗をたくさん経験させる。そして、失敗は挫折ではない、ということを、20歳までに覚え込ませるんだ」と言っていた。それこそ、今の石川に送りたい言葉である。

 ここまでの米ツアーでは、ほとんどが初めての地で、環境の違うコースで戦ってきたけれども、マスターズは今年ですでに5回目の出場。雰囲気もコースもすべて経験済みだ。

 そういう意味では、日本からやってきたお客さんではない。自信を持って堂々とプレイすればいい。日本代表という気持ちも必要はない。米ツアー選手の一員として、自分自身のために、胸を張って戦ってほしいと思う。

 予選ラウンドの2日間は、世界ランキング3位のジャスティン・ローズ、同5位のブラント・スネデカーという、最高の組み合わせでスタートする石川。現状は決して良くないかもしれない。だが、期待したいのは、彼が持ち合わせている強運と、突如としていいプレイをやってのける意外性である。

 待ちに待った2013マスターズが、まもなく幕を開ける。

2 / 2

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る