【ゴルフ】韓国人選手がこぞって日本ツアーに参戦するワケ (2ページ目)

  • 慎 武宏●取材・構成 text by Shin Mukoeng
  • photo by Kouchi Shinji

 例えば、2012年シーズン、韓国女子ツアーの年間賞金総額は、22試合で136億ウォン(約11億2800万円)だった。一方、日本女子ツアーは、35試合で約29億7000万円(ミズノクラシックの120万ドル含む)と、韓国の3倍近くになる。試合数に限らず、賞金額もこれだけ違えば、韓国人選手が"隣国"の日本ツアーに目が向いても不思議はない。

 ちなみに、昨季の韓国の賞金女王の獲得賞金は、キム・ハヌルで4億5889万ウォン(約3800万円)だった。日本の賞金女王・全美貞が獲得した1億3238万915円の3分の1以下で、日本の賞金ランクで言えば、20位に過ぎない(19位の井芹美保子が4240万3341円。20位の若林舞衣子が3587万985円)。チェ・ナヨンやシン・ジエ、アン・ソンジュやイ・ボミら、韓国ツアーで結果を残した選手が、アメリカや日本でも通用し、韓国ツアー参戦時と比べて数倍も稼いでいる姿を目の当たりにすれば、韓国人選手が次々に海外へ飛び出していくのは当然だろう。

 ただし、日本ツアーにおいては、賞金だけが魅力ではない。かつて、イ・ボミはこう語っている。

「日本でプレイするのが、昔からひとつの夢だったんですよ。実際、来てみて感じるのは、日本のゴルフ文化の素晴らしさです。コースやクラブハウスなどの設備が整っているし、ギャラリーの方々のマナーも良くて、とても心地よくプレイできます。自分のゴルフに集中し、没頭できる環境も、日本に来た理由のひとつですね」

 イ・ボミに限らず、日本のゴルフ環境を称える韓国人プロは本当に多い。というのも、韓国ではギャラリーのマナーが問題となるケースが度々ある。ラウンド中でもサインを求めてきたり、大事なパットの場面で携帯電話が鳴ったりすることが日常茶飯事。加えて、ゴルフ場の管理に関しても、韓国ではフェアウェーやグリーンなどの整備がずさんなところが多いというのだ。

 それに比べて、日本のゴルフ環境はあらゆる面で行き届いている。8年間、日本ツアーで戦ってきた全美貞も、その良さを絶賛する。

「最初は、日本でプレイしたあと、実力をつけてアメリカへ行こうと、漠然と考えていました。でも、実際に日本でプレイしてみると、想像以上に素晴らしかった。会場に芝生の練習場があって、芝生の上からアプローチの練習が自由にできることだけでも、すごいな、と思いました。そうしたゴルフの環境をはじめ、ギャラリーの数の多さ、選手たちのプロ意識の高さなど、韓国との違いは歴然でした。それに今や、試合数や人気ではアメリカのツアー以上だと思います。だから私も、アメリカに行くことはもう考えていません。ずっと日本でプレイしたいと思っています」

 アメリカ行きを考えなくなった全美貞と同じように、最近ではアメリカを主戦場にしていた韓国人プロまでも、日本に戦いの場を移し始めている。今年は「韓国の元祖美女ゴルファー」と称されるホン・ジンジュがQT(18位)を経て、日本ツアーに臨むという。

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