【男子ゴルフ】米ツアー初戦は予選落ち。石川遼が珍しく弱音を漏らしたワケ (2ページ目)
パッティングが決まらず、スコアこそ2アンダーと伸びなかったが、石川は「パッティングは試合の中で感覚をつかんでいくしかない」と、開幕までの準備で最も時間をかけてきたスイングに一定の成果が出たことに満足していた。
しかし2日目以降、ショットにも狂いが生じ始める。ティショットがフェアウェーを外すことが多くなり、3日目は右に大きく曲がり、トラブルに陥る場面も目立った。結局、3日間通算で3アンダーまでしか伸ばせず、ビッグスコアが続出するこの大会で上位との差は開く一方だった。
「ラウンド中、(体が自然に)新しいスイングから元のスイングに戻ろうとする。試合間隔が空いたことで、どうしても疲れが出てしまうことが影響しているのかもしれないですね。100%元のスイングに戻るなら、球が曲がることはないと思うけど、中途半端に戻るからボールが曲がってしまう。初日の自分も自分だけど、2日目以降のショットが乱れた自分も自分。できたところは、自信にしたい」
米ツアーに本格参戦するにあたって、石川は「特別な感情はない」と話してきた。しかし。いざ初日を迎えれば、気持ちの高ぶりがあって当然だった。それを鎮めたかったからこそ、スタート前の練習ではイヤホンを耳に当て、外野の声をシャットアウトして冷静を保とうとしていた。
自分自身に期する気持ちが大きければ、135位スタートという現実に、受けたショックも大きかっただろう。取材を終え、コースを後にする石川はボソッとこう漏らした。
「間に合わなかった」
むろん、新スイングがシーズン初戦に間に合わなかった、という意味だ。日本にいた頃の石川からは滅多に聞くことのなかった弱音だろう。
「でも、これを続ければ絶対に良くなるのはわかっているんです。ラウンド中に昔のスイングに戻っちゃうのは、やっぱり体が元のスイングの動きを覚えているから。それを忘れるには練習しかないですね」
自身に言い聞かせるように言葉を吐き、石川は帰りの車に乗り込んでいった。
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