【男子ゴルフ】石川遼が本格参戦する米ツアーで待ち受ける「本当の敵」 (3ページ目)

  • 三田村昌鳳●文 text by Mitamura Shoho
  • 小内慎司●撮影 photo by Kouchi Shinji

 結局、世界のトッププレイヤーと間近でプレイを続けていく石川は、これからまた悩むだろう。例えば、他の選手のパットはみんな入るのに、なぜ自分は決められないのか、と。周りの選手は最終日でも体がキレているのに、どうして自分は4日目に崩れてしまうのだろう、と。結果、再び試行錯誤を繰り返すかもしれない。

 でも、それで構わないと思う。この1年はいろいろなことにトライして、どんどん失敗すればいい。失敗することで、学習能力がつく。次にどうすればいいのかがわかる。なにしろ、石川はすでにこの2年間でその経験をしている。そのことは、非常に心強いし、彼がどんなふうにその苦難を乗り越えていくのか、楽しみでもある。

 そういう意味では、日本ツアーにも参戦するような話をしていたが、できれば帰って来ないほうがいい。アメリカにいれば、そこでの苦労、大変さが当たり前になるけれども、日本の舞台でプレイすると、楽を覚えてしまう。気持ちに甘さが出て、つらい場所から逃げ出したくなっても不思議ではない。

 石川は「世界の舞台で戦う」というレールに乗った。その道を自ら選んだのだから、そのままずっと走り続けてほしい。自分できちんと階段を上がった彼なら、それができると思う。

三田村昌鳳(みたむら・しょうほう)

1949年2月24日生まれ。週刊アサヒゴルフを経て、1977年に編集プロダクション(株)S&Aプランニングを設立。ゴルフジャーナリストとして活躍し、青木功やジャンボ尾崎ら日本のトッププロを長年見続けてきた。初のマスターズ取材は1974年。2012年大会で33回目となる。(社)日本プロゴルフ協会理事。

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