【女子ゴルフ】賞金女王・全美貞「目標は、大好きな日本で永久シードをとること」 (2ページ目)

  • 河 鐘基●取材・文 text by Ha Jonggi
  • 小内慎司●撮影 photo by Kouchi Shinji

――以前とはスイングが変わってきているように見受けられました。そうした影響もあったのでしょうか。

「それは、特に関係ありません。確かにスイング改造は試みていましたが、取り組み始めたのは、2009年からです。理想的なスイングを求めて、義兄にあたる金鍾哲(キム・ジョンチョル)コーチと一緒にスイングの改造を続けてきました。でもそれは、やはり簡単なことではなかったですね。思い通りの球筋を打てず、失敗を繰り返してきました。試合中でもうまく打てないことが何度もありました。それで練習中に、義兄とぶつかり合うこともありましたが、『スイングを変えないと勝てない』と思っていましたから、後戻りしませんでした。前に進むことだけを考えて、その成果が表われてきたのが、昨シーズンでした。そして今季、賞金女王という結果を出すことができて『スイング改造は間違っていなかった』『必要なことだった』と自分の中で消化できたことは本当に良かったです」

――2011年は、最終戦のLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップでやっと優勝できました。そのときには、スイングが固まっていたのでしょうか。

「完全に自分のモノにはなっていませんでしたが、"結果を出せた"ということが何より大きかったと思います。いい気持ちでオフに入ることができて、そのムードのまま、新シーズンに向けていい準備ができました。今年は前半戦から行けるかもしれない、という手応えも得られましたからね。本当に大きな一勝でした。スイング自体は、試合によっていいとき、悪いときがまだまだあります。絶対に失敗しない、ということはこれから先もないと思います。それでも練習を重ねることで、成功と失敗の触れ幅が少しずつ縮まってきています。そして、今年の前半にどうにか『自分のモノになったな』という感覚をつかむことができました」

メンタル面の強化は
普段の生活からの積み重ねが大事

――全選手のゴルフは非常に安定しています。ラウンドの際に何か心掛けていることはありますか。

「ミスしても前向きに考えること、ですね。これまでは、一度のミスで極端に悩んでしまうことが多かったですし、失敗をズルズルと引きずって、次のショットにまで影響が及ぶことが多々ありました。そのため、最近ではメンタル面に特に気を配りながらラウンドしています。昨年からは、メンタル専門のトレーナーにもついてもらって、いろんな方法を実践しながら取り入れています」

――思い出したくないことかもしれませんが、安定感のある全選手のプレイでとても印象に残っているシーンがふたつあります。2008年のリコーカップと、2009年のSANKYOレディースです。ともに最終ホールで、考えられないようなミスショットを犯し、最終的にダブルボギーを叩いて逆転負けを喫しました。

「あのふたつのシーンは、私も忘れられません。それぞれ、打つ前に起きてもいないことを先に考えてしまいました。それも、悪いイメージです。あの2試合は、平常心を保てていなかったですね。終わった後には、何も考えられずに放心状態でした。しばらくすると、今度は『なんで、あんなことしてしまったんだろう』と後悔の気持ちが膨らみました。勝敗を分けるのは、やはりメンタル面だな、と改めて思い知らされましたね。でも、あのふたつの経験があったからこそ、メンタル面の重要性を感じて、今の自分があると思っています。メンタル面の強化を図ったことで、今年に入ってからは、大きく崩れることがなくなりましたし、とても安定したプレイができました」

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