【男子ゴルフ】試行錯誤を繰り返す石川遼の「現在地」 (2ページ目)

  • 三田村昌鳳●文 text by Mitamura Shoho
  • photo by Sports Nippon/Getty Images

 その際、石川はこんなことを語っていた。
「今年は米ツアーのシード権を獲って、来季は(米ツアーに)挑戦をしたい。だから、この5週間でいいプレイをして、確実に(シード権を)獲得できるポジションにいきたい。かなりハードなスケジュールだけど、米ツアーでやり抜くには、それだけの体力強化も必要。実際、体重は3kgほど増えて、筋肉もついてきています」

 実はこの筋力強化や肉体改造が、今季のスイングの不安定につながっているのだと思う。大きく分けて、上半身と下半身のバランスが悪いだけでも、スイングは大きく変化する。細かく言えばキリがないが、わずかな肉体の変化で、今まではうまくいっていたものでもうまくいかなくなる。当然スイングは、イメージと食い違ってくる。石川は、まさにその状態にある。

 かつて、ジャンボ尾崎がスランプに陥ったことがある。それは、「もっと大きなゴルフ、世界に通用するゴルフとスイングを身につけたい」という目的があってのことだった。その間、ジャンボは肉体を鍛え直していたのだ。そして、世界レベルのスイングが保てる肉体作りと、その肉体に合ったスイングとの融合に3年かかった。

 つまり石川は、それをやろうとしている。それも、この1年間でやってのけようとしているのである。

 また、同じザ・メモリアルトーナメントで、石川はあることに気がついた。試合中の「ゲームマネジメントの重要性」だ。

「自分は、どうしてもスイング(ショット)のことばかり考えてしまう。でも、(このトーナメントで)ゲームマネジメントがいかに大切か、よくわかりました」

 当たり前のことだが、石川はどうしても「今の自分のスイング(ショット)では、そこまでの(マネジメントを駆使する)レベルに達していない」という思いが強い。だから、「もっとスイング(ショット)の精度を高めないと、マネジメントは生かし切れない」と自問自答し、それが『trial and error』の原因にもなっていた。

 それでも現状では、来季米ツアーのシード権獲得はほぼ間違いないポジションにいる。したがって今は、石川の気持ちの中では、来季の米ツアーでしっかりと結果を出すための肉体づくりと、それに融合したスイングを完成させたいという気持ちのほうが強いはずである。

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