【女子ゴルフ】宮里藍、全米女子オープン制覇の準備は整っている (2ページ目)

  • テレビ朝日全米女子オープン取材班●取材・文 text by tv asahi US Women's Open crew
  • photo by Getty Images

 そして迎えた後半の1番ホールの第2打。フェアウェーからはおよそ11mの高低差がある打ち上げで、グリーン面がまったく見えないショットをピン横にピタリ。難なくバーディーを奪うと、「ここで流れが変わった」(宮里)というように、グリーン周りを川が取り囲む5番でも、およそ12mのバーディーパットを沈めて、前半の出遅れを取り戻した。

「朝のパッティンググリーンが本番のコースより重かったので、なかなかアジャストするのに時間がかかってしまった。でも、それも自分でわかっていたので、ひとつひとつ丁寧にやっていけば、そのうちフィーリングも合ってくるかな、という感じで気長にいろいろなことを受け止めていたのが、良かったと思います」(宮里)

 その後も、パットが冴えた宮里。8番、9番と連続バーディーを奪って初日を終えた。

 ラウンド解説を務めた村口史子プロは、宮里の強さをこう分析した。
「宮里選手は、我慢強く、精神的に強い。パットが決まらなくても、リズムが変わらないからショットに影響しない」

 2日目は、初日以上に我慢のゴルフを強いられた。スタートして1番から4番まで短いパットを決めることができないでいると、難関の5番ホールのティーショットを左の崖に落とし、ボギー。続く6番パー3でも、ティーショットがグリーン横の深く密集したラフにつかまって連続ボギーとした。

 後半に入っても、なかなかリズムに乗れず、14番では第2打をグリーン奥のブッシュに入れてしまう。それでも宮里は無理をせず、アンプレアブルを冷静に選択すると、その後の難しいアプローチをピンに寄せてボギーで切り抜けた。その際も、宮里は何ら動じていないように見えた。

 ところが、その14番では、キャディーのミックと意外なやり取りがなされていたという。
「奥のブッシュに入ることも起こりうる状況なのに、(それが自分で)見えていなかったことに、自分自身すごく怒っていたので、(キャディーの)ミックにそれをそのまま伝えた。そしたら、彼が『そうだね。でも、全米(女子)オープンだからがんばろう』と言うから、それで私は『わかってるよ! だからやってるじゃん!』って言い返した(笑)」(宮里)

 なんと、それまでに溜まっていたフラストレーションを、そこで爆発させていたというのだ。

「でも、そういうやり取りがあったから、気持ちよく次のショットが打てた。うまく自分の中の気持ちを発散して、前に進めたので良かった。全米(女子)オープンというのは、そういうことをやってこそのトーナメントだと思います」

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