【ゴルフ】韓国代表コーチが語る「チェ・ナヨンに最初に教えたこと」

  • 慎 武宏●取材・構成 text&photo by Shin Mukoeng
  • photo by Getty Images

 そんな彼女に、私が最初に教えたことは、ゴルフというスポーツの考え方でした。彼女に限らないのですが、ハン・ヨンヒ総監督と我々コーチ陣が、まず子どもたちに教えるのは、そこからです。

 一般的に、ゴルフを始めた人がボールを飛ばせるようになると、最初はどうしてもドライバーレンジで気持ちよくスイングして、ボールを遠くへと飛ばしたがるものです。しかしそこに、ゴルフというスポーツの本質はありません。

 ゆえに、我々が最初に子どもたちを教えるときは、ドライバーレンジでのレッスンは行なわず、実際にコースに出て、グリーン周辺のアプローチから教えます。「ここから3打でボールをカップに入れてみなさい」、「ここから4打でカップに入れるためにはどうすればいいか考えてごらん」といった感じで、さまざまな場所からボールを打たせるのです。

 いきなりティーグランドから実戦形式で練習する方法もありますが、非力な年少期やスイングが固まっていないときだと、飛距離も出ないし、スコアも伸びず、結果的にはゴルフへの興味が薄らいでしまいます。そうしたことは避けたいので、短い距離からチャレンジして、カップに入れる面白さを感じてもらい、ゴルフというスポーツの本質を教えるのです。

 それはつまり、ゴルフはボールの飛距離を競うのではなく、打数を競うスポーツである、ということです。いくら飛ばしても、打数が多ければ勝てないのがゴルフ。何より重要なのは、正確さ、ということを第一に教えます。

 チェ・ナヨンは、そうしたゴルフの本質をしっかり把握したうえで、順調に成長した選手だと言えるのではないでしょうか。

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