【ゴルフ】韓国代表コーチが明かす「イ・ボミが強くなった理由」 (3ページ目)

  • 慎 武宏●取材・構成 text&photo by Shin Mukoeng
  • 小内慎司●撮影 photo by Kouchi Shinji

 これは個人的な意見ですが、その熱心さは、同世代に出遅れた分を必死に取り戻そうとする、彼女なりの覚悟ではなかったかと思います。それと、同世代の選手と一緒に練習し、ラウンドする中で、彼女らの実力を目の当たりにし、ボミ自身、大いに刺激を受けたのではないでしょうか。

 そして2007年、彼女はプロに転向しますが、その決断の背景にも、同世代への競争心があったと思います。

 そのままアマチュアを続けていれば、国家代表にもなれたと思いますが、アマチュア最大の目標であるアジア大会は3年後でしたし、彼女と同世代のチェ・ナヨンらはすでにKLPGAでプレイしていましたからね。ライバルたちに負けじと、自分も次のステージに向かいたい、という欲求に駆りたてられたのでしょう。日本ツアーに参戦するようになったのも、そうした思いが強く働いていたのではないかと思いますね。

 努力を厭(いと)わない一途さと、ライバルからの刺激を向上心に変える心構え。さらに、「あの子たちにできるのだから、私にもできる」という自信。そうしたメンタリティーが、DNAレベルで韓国人ゴルファーの体内には刻まれているのかもしれません。
(つづく)

  キム・ジョンイル(金 鍾一)
1969年1月10日生まれ。2006年からKGA(韓国ゴルフ協会)国家代表・代表常備軍のコーチングスタッフとなり、2008年から2011年までは女子代表首席コーチを務める。2010年アジア大会では個人・団体の金メダル、2010年世界選手権でも個人・団体で金2、銅1のメダル獲得へ代表チームを導いた。その功績をたたえられ、2011年には韓国の体育勲章である『巨像章(コサンジャン)』を授与される。2011年KGA功労賞も受賞。

検証・韓流ゴルフ「強さの秘密」(全13回)>

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