【ゴルフ】史上最年少優勝キム・ヒョージュを生み出した
韓国代表の『マル秘』指導とは?

  • 慎 武宏●取材・構成 text&photo by Shin Mukoeng

 技術面に関しても、取り立てて特別な指導やレッスンをしているわけではありません。アマチュアとはいえ、それぞれ身体的特長がありますし、日常的に指導を仰ぐレッスンプロやコーチがいますから、イチから手取り足取り指導することも、彼らが身につけたスイングフォームを好き勝手にいじくることもありません。それはかえって、彼らに混乱を与えることになります。

 もちろん、本人たちが気づかないクセや問題点を修正するためのアドバイスはしますし、より上達するためのワンポイントレッスンを施します。

 その際に私がもっとも重視したのは、ゴルフの基礎と原理です。グリップの握り方はもちろん、どのように打てばボールは真っすぐ飛ぶのか、ボールを叩く角度や場所によってボールがどう変化するのか、スタンスとボールが飛ぶ方向の関係性やパッティングのコントロール方法など、ゴルフの基本技術と原理を教えます。

 それも、「こうだからこうしなければならない」と頭ごなしに強制的に指導をするのではなく、「こうだからこうなる」という原理を正確に伝えてあげます。ゴルフのメカニズムを知っておけば、調子を崩したり、自分のスイングに迷いが生じたりしたときでも、自ら修正することが可能になりますからね。いつでも立ち返ることができる基本を、頭と体に刷り込ませるのです。

 韓国ゴルファーは、一般的に基本に忠実で、スイングフォームも画一的だと言われ、グリップの握り方から腕の角度、振り抜き方、スタントの取り方まで、非常に細かい部分まで気を使って、「自分に合った"正しいスイング"を崩さない」と評価されています。それは、国家代表や代表常備軍などで受けた指導も、少なからず反映されているかもしれません。
(つづく)

  ハン・ヨンヒ(韓然熙)※写真左は韓国期待の星、キム・ヒョージュ。
1960年2月1日生まれ。1980年5月からゴルフをはじめ、1988年5月にKPGA(韓国プロゴルフ協会)プロテストに合格。同年からツアー生活を送るも、腰のケガなどもあって1995年ツアー生活に終止符を打ち、指導者に転身。済州(チェジュ)観光大学、済州高等学校、ピボン中学・高校のゴルフ部監督を歴任し、2003年から2011年までKGAの国家代表総監督を務める。その間、KLPGA(韓国女子ゴルフ協会)指導者賞、KGA指導者賞を受賞し、2011年には体育勲章である「猛虎章」を授与された。

検証・韓流ゴルフ「強さの秘密」(全13回)>

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