2012.06.16

【ゴルフ】史上最年少優勝キム・ヒョージュを生み出した
韓国代表の『マル秘』指導とは?

  • 慎 武宏●取材・構成 text&photo by Shin Mukoeng

韓国代表合宿でキム・ヒョージュを指導するハン・ヨンヒ総監督。 そんなヒョージュは現在、国家代表として今年9月に行なわれる世界女子アマゴルフチーム選手権に照準を合わせています。つまり彼女も、小学6年生で代表常備軍入りし、中学3年生で国家代表となり、韓国の国家代表システムの中で鍛えられてきた選手なのです。

 では、韓国代表ではどのような練習を行なっているのか。選手選抜システムの公正さと熾烈さは前回説明したので(6月9日配信『強靭な選手を次々に輩出する、韓国・国家代表システムの全貌』)、今回はその指導内容について紹介しましょう。

 韓国ゴルフ協会(KGA)が主催する国家代表および代表常備軍は、アジア大会や世界アマチュア選手権など、国際舞台で活躍できる選手を育成・強化することを最大の目的にしています。そして、そのために国家代表と代表常備軍が参加する合同合宿が年に数回、国内で行なわれます。総勢60名以上の選手が集まり、10名を超えるコーチたちで彼らを指導します。指導者たちはプロ経験のあるコーチや現役のレッスンプロなどで構成されており、ウエイトトレーニングを指導するトレーナーや、大学で心理学を教えるメンタルトレーナーもいます。

 合宿では、早朝に体力トレーニング、午前はドライビングレンジでの打ちこみ、午後はコースに出て実戦形式のラウンド、夜はゴルフ理論やメンタル、マナーなどの講義を行ないます。朝から晩までゴルフ漬けですね。

 もっとも、取り立てて特別なことをしているわけではありません。

 例えば、メンタルトレーニング。墓地や霊安室などに行かせて、俗に言う"肝試し"をして強靭なメンタルを養っているわけではありませんよ(笑)。そういったことをするときもありますが、肝が据わるのは一瞬だけで長続きはしませんから、理論的かつ実践的な方法で、強いメンタルを養い、鍛えます。物事をポジディブに捉え、考えるためのアドバイスや心構えの方法を、理論的に教えるのです。

 ただ、ゴルファーにとって一番大切なのは胆力ですが、それを外部から教え、叩き込むには限界があります。

 そこで、我々が重視してきたのが、実際のコースでのシチュエーショントレーニングです。「次の一打で優勝が決まる」「次の一打を決めなければ予選落ち」など、難しいシチュエーションを設定し、追いつめられた状況下でのショットを何度も経験させます。

 強いメンタリティーの源になるのは経験ですから、その場数をたくさん踏ませるわけです。そこでは、私たち指導者たちの経験に基づいた具体的なアドバイスも授けながら、最終的には彼ら自身が自力で状況を打開できるメンタリティーを身につけさせます。