【ゴルフ】強靭な選手を次々に輩出する、韓国・国家代表システムの全貌 (3ページ目)

  • 慎 武宏●取材・構成 text by Shin Mukoeng
  • 小内慎司●撮影 photo by Kouchi Shinji

 ポイント制を採用しているのは、客観性を重視した選抜を行なうためです。選手によっては、好不調の波があるだろうし、選ぶ側に主観があっては不公平も生じます。あくまでも、公正かつ客観的に選手を判断するために、大会ごとに競わせるのです。大会で結果を残してポイントが加算されなければ、代表常備軍入りできないので、どんな大会でも選手たちには緊張感があり、自然と競争を誘発できるメリットもあります。

 代表常備軍メンバーになった選手は、次に国家代表選抜大会に挑みます。その競争に勝ち残った者だけが、最終的に国家代表になれるわけです。

 当然、国家代表になったとしても、アドバンテージがあるわけではなく、安心してはいられません。キム・キョンテのように、高校2年生から大学2年生まで4年連続して国家代表になったケースもありますが、2003年に国家代表だったチェ・ナヨンは、翌年には代表常備軍に振り分けられましたし、シン・ジエも国家代表歴は2005年の一度のみしかありません。アン・ソンジュ、イ・ボミは代表常備軍止まりで、ペ・サンムンに至っては代表常備軍入りすらしたことがないのです。

 つまり、国家代表を頂点にしたサバイバル競争が、韓国ではジュニア時代から日常化されており、そんな熾烈な競争の中で揉まれ、鍛えられるからこそ、韓国人ゴルファーは勝負強く、日本や世界でも活躍できているのではないかと思います。

 韓国ゴルフの強さの源。それは、熾烈な競争とそこで激しくぶつかり合う向上心にあるのです。
(つづく)

  ハン・ヨンヒ(韓然熙)
1960年2月1日生まれ。1980年5月からゴルフをはじめ、1988年5月にKPGA(韓国プロゴルフ協会)プロテストに合格。同年からツアー生活を送るも、腰のケガなどもあって1995年ツアー生活に終止符を打ち、指導者に転身。済州(チェジュ)観光大学、済州高等学校、ピボン中学・高校のゴルフ部監督を歴任し、2003年から2011年までKGAの国家代表総監督を務める。その間、KLPGA(韓国女子ゴルフ協会)指導者賞、KGA指導者賞を受賞し、2011年には体育勲章である「猛虎章」を授与された。

検証・韓流ゴルフ「強さの秘密」(全13回)>

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