【ゴルフ】韓国代表総監督が語る
「韓国人が世界で成功している3つの要因」

  • 慎 武宏●取材・構成 text by Shin Mukoeng
  • photo by Getty Images

 今、多くの韓国人選手が日本やアメリカなど世界各地で活躍しています。日本では昨年、男女ともに韓国人ゴルファーが賞金王に輝き、今年の3月にはイ・ボミが日本ツアー初優勝を飾りました。韓国人としてとてもうれしいことですが、だからと言って、私は韓国が日本ゴルフ界を完全に凌駕しているとは思いません。

 むしろ韓国ゴルフ界にとって、日本はいまだに大きな目標です。歴史、環境、選手層と、その潜在能力などにおいて、日本は韓国の先を行っており、韓国はそんな日本を追いかけなければならない立場にあります。

 そんな中でも昨今、韓国人ゴルファーが成功している要因を挙げるとすれば、3つの要素が挙げられるのではないでしょうか。

 ひとつは、圧倒的な練習量です。韓国人選手は本当によく練習します。それこそ、朝から晩までゴルフ漬けの毎日であっても、いといません。

 例えば、一昨年に日本の男子ツアーで賞金王に輝いたキム・キョンテがそうです。私はレッスンプロだった彼の父親と懇意だったこともあって、キョンテが中学1年生の頃から指導し、キョンテが韓国代表になってからは遠征や合宿で多くの月日をともに過ごしました。

 彼はとにかく、アマチュア時代から練習熱心で、何よりも負けず嫌いでした。一見すると表面的には内気でおとなしそうに見えますが、勝利への執着心が人一倍強く、勝つためにとにかく練習します。

 それは、今も変わりません。最近もときどき優勝報告の電話をかけてきてくれますが、勝利の喜びよりも、課題や修正点を口にすることを忘れません。それなりの地位を築いていても、自分の技術向上に対して貪欲なのです。その貪欲さが、彼の日本での成功の支えになっていると思いますし、その貪欲さがあるから、彼らはひたすらボールを打ち続けるのでしょう。

 またふたつ目に、韓国人選手たちの精神構造、つまり「やればできる」という挑戦心も大きいと思います。その象徴として例に挙げたいのが、シン・ジエです。

 韓国代表常備軍合宿で、当時中学生だったジエを初めて見たとき、「この選手はゴルフという勝負の世界で生き残れるのか?」と、心配がよぎりました。技術は申し分ありませんでしたが、勝負に対するこだわり、すなわち勝負根性があまりなかったからです。

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