【女子ゴルフ】香妻琴乃「プロになるためのレールが敷かれていた」 (3ページ目)

  • 佐藤 俊●文 text by Sato Shun
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 香妻はこれまで調子が悪いとか、考えたことがないという。

「ここまで、結果には満足はしていないですけど、特に調子が悪いとかもないです。だから、お休みの日にゴルフから意識的に離れることもないですね。趣味もないですから(笑)。たまに買物とか遊んだりしますが、調子のいい時は、ずっとゴルフをしていても平気なので、基本的にゴルフが大好きなんですね」

 そう笑う香妻のプロ意識はかなり高い。発する言葉に浮わついたものはない。プロとしてすべきことも十分、理解している。それが、20歳にして、老練な落ち着きを醸し出している、ひとつの要因かもしれない。

「今シーズンの目標は、優勝です。いつできるかわからないですけど、父には『全部予選落ちしてもいい。スコアをまとめようとして小さくまとまるよりも、1試合だけ優勝するとか、今まで通り思い切ったゴルフを続けるように』と、言われています。『今の順位じゃシ-ド権取れないよ』と言われるよりも、そう言ってもらったほうが、気が楽なので、ありがたいですね。これまで無駄にした試合は1試合もないので、『いつかは勝てるさ』という気持ちでプレイしていきます」

 肩の力を抜いて初Vに挑戦する香妻には、さらに大きな目標があるという。

「オリンピックに日本代表として出場して、金メダルを獲ることです。そのためには、優勝はもちろん、日本代表になれるくらの力を付けること。あと、(リオデジャネイロ五輪まで)4年しかないので、危機感をもってやらないとダメですね」

 代表の座をつかむには、さらなるレベルアップはもちろん、厳しい競争に打ち勝たなくてはならない。だが、彼女の未来図には、プロへのレールが敷かれていたのと同じくらい鮮明に、表彰台に立つ24歳のメダリストの姿が描かれているに違いない。

  香妻琴乃(こうづま・ことの)
1992年4月17日生まれ。鹿児島県出身。プロトーナメントでローアマを獲得するなど、アマチュア時代から注目されていた逸材。高校の時にはJGAナショナルチームのメンバーとして国際大会にも参加した。そして高校卒業後、昨年のプロテストに合格。QT(クォリファイングトーナメント)でも34位の成績を収め、今季からプロツアーに本格参戦している。5月17日現在、賞金ランク72位。身長157cm。血液型A。オフィシャルサイトはこちら>>

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