【男子ゴルフ】石川遼がついにアメリカツアー本格参戦に照準!? (2ページ目)

  • 武川玲子●協力 cooperation by Takekawa Reiko text by Sportiva
  • photo by Getty Images

 結局、首位のマクニールが上がり3ホール連続バーディーを奪って優勝。石川はあと一歩及ばなかったが、その表情は充実感にあふれていた。

「"裏"の試合とはいえ、すごいメンバーがそろっていましたし、どんな舞台であっても、優勝争いにおける緊張感は変わりません。体も硬くなったし、表情も強張っていたと思います。でも、そういう状況で『ここでできることはマスターズでもできる』と一打一打しっかりとかみ締めながらプレイし、特に(優勝を意識した)最後の18番で、ティーショット、セカンド、アプローチと、いいショットが続けられたのは、何よりの収穫でした。ああいう手がしびれるような感覚の中でも、正確なボールを打てるように練習を重ねてきたので、すごく自信になりました」

 単独2位の石川は、世界ランクも47位に上昇(3月12日現在)。さらに、賞金37万8000ドル(日本円でおよそ3000万円)を加算して、今季の米ツアーの通算賞金(58万2471ドル)が昨季の賞金ランク150位の金額(41万1943ドル)を超えたため、スペシャルテンポラリーメンバーの資格を取得(60日以内に申請すれば、年間12試合までという出場制限が解除される)。今季はマスターズで8試合を消化することになるが、今後出場権を得られれば、すべてのメジャー大会や世界選手権シリーズへの出場が可能になった。

「それも、今季目指していたことです。だから、1月のソニーオープンから参加させてもらった。スケジュールについてはこれから考えたいと思いますが、道はひとつしかないと思っています」

 とはいえ、石川の最大目標はマスターズ。今回のプエルトリコ・オープンで結果を出しても決して満足することはない。

「マスターズの出場が決まったとはいえ、あくまでもアーノルド・パーマー招待を終わった時点で、世界ランク50位以内を目指すという強い気持ちは変わらないし、気が抜けるということもありません。というのも、僕はあの舞台で優勝争いするために、アメリカに来ていると思っているからです。これまでみなさんから『マスターズの出場権を獲得することが大前提になるのか?』と聞かれる度に、『(マスターズに)出場することが目標ではありません』と答えてきたのは、そういうことです。そこを目標にしてしまったら、マスターズで予選落ちするのが目に見えています。

 だから、昨年、一昨年と比較して、今年は何かが違います。自分を過酷な状況に置いていると感じていますし、ボーッとしていたら置き去りにされてしまうような居心地の悪さがあります。来年の米ツアーの出場資格に対しても、昨年以上に現実味を持ってとらえていて、すごく危機感があります。そういう意味でも、今回の内容に関してはまだまだ満足していません。ドライバーの出来に関しては余裕がなかったし、マスターズまでにやるべき課題はたくさんあります。そのためにも、次に向けて気持ちを切り替えて、早く練習したいです」

「ちょっと先走っているかもしれませんが......」と前置きして、そう熱く語った石川。彼が見ている場所は、周囲の想像よりもはるか上にある。1カ月後、その高みを共有できることを期待したい。

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