【男子ゴルフ】マスターズ出場へ正念場。石川遼が「機械になりたい」と吐露した真意

  • 武川玲子●協力 cooperation by Takekawa Reiko text by Sportiva
  • photo by Getty Images

ショットの安定感を欠いて、厳しい状況に直面している石川遼。本人が「重要な一戦」と位置づけていたアクセンチュアマッチプレー選手権(2月22日~)での巻き返しを期待したいが......。ショットの安定感を欠いて、厳しい状況に直面している石川遼。本人が「重要な一戦」と位置づけていたアクセンチュアマッチプレー選手権(2月22日~)での巻き返しを期待したいが......。 石川遼が苦しんでいる。

「これから2カ月間、マスターズで一番いい状態でプレイすることをイメージしてがんばっていこうと思っていますが、今年はマスターズに出ることが決まっていた昨年とは、自分が立たされている環境が違う。マスターズ出場のために、結果が求められる。そういう意味では、これからの一試合、一試合がとても重要になってくると思っています」

 今季3戦目となる米ツアーのノーザントラストオープン開幕前、最大目標となるマスターズ出場(3月26日発表の世界ランキング50位以内)へ向けて意欲を見せた石川だったが、決勝ラウンドに入ってからスコアを崩して、通算12オーバー72位タイに終わった。

 予選ラウンドは決して悪くなかった。初日は海からの強風が吹きつける中、誰もがスコアメイクに苦しむ中、石川は我慢のゴルフを展開。「スイングの軸が不安定で、ゴルフ全体に1本筋が通っていないラウンド」とショットに不安を抱えながらも、アプローチでしのいで大崩れすることはなかった。

「このコースで、これだけ強い風が吹く中でラウンドするのは初めてでした。思わぬところで飛距離が伸びていたり、グリーンも硬くなっていたりして、戸惑いもありました。グリーン上でも難しいラインにつくことが多かったので、ほんのちょっとの差でパットが入らなかったりしましたが、悪いなりにというか、そういう中でよく耐えられたと思います。我慢の必要なラウンドで、その点では自分なりに評価できるプレイができました。

 気持ちの面でも、しっかりテーマを持ってラウンドできました。一打、一打に集中して、うまくいかないショットが続いてイラッとしても、気持ちをコントロールしてリカバリーができました。また、ティーグラウンドに立つときは常にバーディーを狙う気持ちでいますが、『ここは無理して攻めなくてもいい』という判断もできていた。もちろんそれは、できるときとできないときがあるのですが、できないときが確実に減ってきたと思います」

 第2ラウンドも序盤はパットが決まらずに苦戦したが、集中力を切らさずにプレイすることでリズムをつかみ、バーディーが先行。残り2ホール残して日没サスペンデッドとなるも、翌日早朝にきっちり結果を出して、1オーバー39位タイで予選通過を果たした。

 ところが、第2ラウンド終了後に行なわれた第3ラウンドを迎えると、「だまし、だましプレイしていた」というティーショットが完全に乱れ始めた。前半だけで4つスコアを落として、トータル6オーバー68位タイに後退。途中、パットを叩きつけるなど、自身の不甲斐ないプレイぶりに苛立ちを隠せなかった。

「今日はまったく話にならない出来。新しいスイングにやっと慣れてきて、このスイングを固めようという段階なのに、スイングの軸がぶれ始めた。一度そうなると、簡単には建て直せなくなってしまう。体が左に傾きながらダウンスイングしてしまう感じで、前の打ち方に戻ってしまった感覚。結局、ドライバーではボールを置きにいくような打ち方になって、アイアンではほとんどフルスイングできなかった。その場しのぎのスイングではうまくいかないことを改めて痛感しました。本当に悔しいです」

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