【男子ゴルフ】石川遼が開幕戦で見せた揺るがぬ姿勢。「向上心を持っての予選落ち」 (3ページ目)

  • 武川玲子●協力 cooperation by Takekawa Reiko text by Sportiva
  • 宮本 卓●撮影 photo by MIyamoto Taku

 さらに、昨季の米ツアー賞金ランク2位のウェブ・シンプソンと、同4位の崔京周(チェ・キョンジュ)と同組でラウンド。2日間で2アンダーと決勝ラウンドに難なく進出した彼らとも、スコアほどの差は感じなかったという。

「一緒に回ったふたりは先週もいいプレイをしていて(開幕戦のヒュンダイトーナメント・オブ・チャンピオンズでシンプソンは3位、チェは5位)、さすがだな、と思いました。でも僕自身、一昨年や昨年まではいっぱい、いっぱいのラウンドが多かったけれども、このショットを打っていたら『(米ツアーでも)通用するだろうな』という手応えを感じられました。彼らが狙って外した場所に、あとから僕がそこを狙って完璧に打てたシーンもあり、少しずつですが、彼らと同じ土俵に近づいてきたような感覚があります」

 昨季は米ツアーで戦う選手たちのプレイに惑わされてスイングを崩してしまうことが多々あったが、この試合では自分の求めるスイング、プレイに集中できたとも語る。

「今季のテーマのひとつは、オリジナリティーというか、周りに流されないこと。そういう意味では、厳しいピンポジションでしたけれども、攻めながらもリスクを回避して打っていくなど、自分の思いどおりにプレイできました。もちろんまだまだ足りない面もありますが、自分なりに納得してプレイし、自分のやるべきことはできました。つまり、きちんと向上心を持っての予選落ちなので、次につながると思います。当然、優勝争いにもつなげていきたいです」

 どこまでもポジティブな姿勢を崩さなかった石川。しかし彼の言葉とは裏腹に、昨季未勝利に終わった原因のひとつでもある、ティーショットの不安定さはいまだに改善されたとは言い難い。

「今は結果にこだわる段階ではないと思っています。まだスイングの中に自分の悪い癖がいくつかあるので、それを修正するために徹底的に打ち込んでいます。調子が悪いから打っているのではなく、1、2カ月後には最高の状態に仕上がって、そこで成果が出ると思って練習をやっています」

 例年2月からの米ツアー参戦を、およそ1カ月前倒しして獲得を目指す、マスターズの出場権。はたして石川は、「秘めた思いはすごくある」という憧れの舞台へのキップを手にすることができるだろうか。

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