【男子ゴルフ】石川、松山、池田......日本の若き精鋭たちに託す2012年の夢 (2ページ目)

  • 三田村昌鳳●文 text by Mitamura Shoho
  • 益田佑一●写真 photo by Masuda Yuichi

 松山がプロツアーで頭角を表したのは、2010年の日本オープンだった。そのとき18歳の松山は、2日目を終えてトップと2打差の好位置につけ、最終的には3位タイに終わった。

 その際、優勝を争っていた武藤俊憲は松山について、こう評した。

「松山君は崩れないですね。あの精神力の強さは、どこから来ているのでしょうか。彼なら、日本ツアーで十分に通用するはずです。出だしの流れがあまり良くなくて、緊張しているのかなと思ったけれども、それが数ホールで集中力が回復して、自分のゴルフをしてくるんですよ。僕がデビューしたときとは、かなりの違いがありますね。ショットに入る集中力やルーティンにしても、本当に18歳のアマチュア選手なんだろうか? と思うほど。僕は学生ゴルファーからプロに転向したわけではなく、研修生を経て、必死な思いでプロになったので、初めての試合、それもメジャー大会で、あんな余裕も集中力もなかったですね」

 その武藤の言葉を証明するように、2011年、松山は躍動した。

 松山の魅力は、第一に180cmという長身。そのうえで、昨年のマスターズ以降、ずっとフィジカルトレーニングを続けてきたことによって、太ももやお尻の筋肉の質、量ともに一層増したことが大きい。そのため、飛距離だけでなく、安定度の高いスイングができてきている。これは、ひと回り体の小さい石川には埋められない、松山のアドバンテージである。

 さらに、彼がより成長したと思うのは、とてつもない精神力だ。特に昨年10月、アジアアマチュア選手権を連覇したのは、その証明。今年のマスターズ出場権がかかった大会で、一度マスターズを経験した松山は相当なプレッシャーを感じていたはず。にもかかわらず、1打リードで最後のパットをきっちり決めて連覇を達成した。その修羅場をくぐり抜けてきたタフな精神力にはただならぬものを感じる。

 そんな松山に託す今年の夢は、再びマスターズのローアマだ。しかも全体の(翌年のマスターズ出場資格も得られる)ベスト15位以内を期待したい。松山自身、「あの表彰セレモニーの感動は忘れられない」と言う。彼も本気でそこを目指しているはずだ。

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