鎌田大地は「プレミアリーグで最もいやなチーム」クリスタル・パレスに何をもたらしているのか
「どこのチームも、うちとやるのは難しいと思う」と、クリスタル・パレスの鎌田大地は言っていた。8月のコミュニティシールドで、昨季FAカップ王者の自軍が、PK戦の末に昨季プレミアリーグ覇者のリバプールを下した、今季開幕前哨戦でのひと言だ。その後もパレスは、相手にすればやりにくいチームそのものだ。3勝3引分け0敗のプレミアリーグ3位で9月を終えている。
チームからは、最大の「個」であったエベレチ・エゼが、開幕直後にアーセナルへと去った。にもかかわらず、リーグ戦以外も含めて昨季終盤の4月後半から負け知らず。連続無敗は、クラブ史上最多タイの18試合へと伸びた。就任2年目のオリバー・グラスナー監督のもと、基本システムになった3-4-2-1から、ボール非保持時には素早く4-5-1へと移行する堅守態勢は見事だ。
その徹底された組織のなかに、過去18試合のうち、膝を痛めていた3試合を除く15試合に出場し、先発が12試合を数える鎌田もいる。9月27日のホームで、リーグ首位に立つリバプールとの今季プレミア無敗対決を制した第6節(結果は2-1)が、最新にして最良の例だろう。
プレミアリーグで首位を走るリバプール戦の勝利に貢献した鎌田大地(クリスタル・パレス) photo by AFLOこの記事に関連する写真を見る 鎌田個人が目立っていたわけではない。国内のオンラインメディアでは、10点満点で2点という酷な採点さえもらっている。だが個人的には、及第点以上とした他の複数メディアに賛成だ。いずれも、スタメンに名を連ねた前節までのリーグ戦3試合と同様に7点は与えられていた。後半29分までは2ボランチの一角、その後は2シャドーの一角でプレーした日本代表MFは、観衆の拍手でハードワークを労(ねぎら)われながら、後半アディショナルタイム1分にピッチを下りている。
この日のパレスは、クロスの処理を誤った終盤の1ミスで追いつかれ、エディ・エンケティアによる土壇場の勝ち越しゴールを必要とした。しかし、28%のポゼッションとは裏腹に、終始、勝って然るべきチームだと思わせた。リバプールにボールは持たせても、スペースは与えない。試合開始から25分間足らずで、相手GKアリソン・ベッカーに3度のビッグセーブを強いた前半は、今季のパレスの試合で最高の前半だったと言ってもよい。
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著者プロフィール
山中忍 (やまなかしのぶ)
青山学院大学卒。1993年に渡欧し、西ロンドンが人生で最も長い定住の地に。イングランドのサッカー界を舞台に執筆・翻訳・通訳に勤しむ。著書に『勝ち続ける男 モウリーニョ』、訳書に『夢と失望のスリー・ライオンズ』、『バルサ・コンプレックス』(ソルメディア)など。英国「スポーツ記者協会」及び「フットボールライター協会」会員。






















