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フランク・ライカールトを「世界最高のMF」と言わしめた知的センス サッキもファン・ハールも賛辞を惜しまなかった (4ページ目)

  • 粕谷秀樹●取材・文 text by Kasuya Hideki

【まさかのバロンドール投票10位】

 ゴールの瞬間、ライカールトを「兄貴」と慕った若者たちの喜びが爆発する。滅多に感情を表に出さない兄貴も、笑顔で応じた。

 そして、このチャンピオンズリーグ決勝を最後に現役引退。文字どおり有終の美を飾った。

 八面六臂(はちめんろっぴ)の活躍でミランに、アヤックスに多くのタイトルをもたらしたにもかかわらず、ライカールトは個人賞に恵まれなかった。フットボールの七不思議だ。かつての僚友も慮(おもんぱか)っている。

「1992年のバロンドールの投票で、ライカールトが10位とは理解しがたい。特別に秀でた選手であるにもかかわらす、あまりにも評価が低すぎる。彼は技術、知性、戦術眼のいずれもが完璧で、あらゆるプレーを体現し、あらゆる局面に対応できる。ライカールトがいたからこそ、私はバロンドールを獲得できた」

 ファン・バステンの評価こそが、真の実力とヒエラルキーを証明している。ライカールトは、まごうことなき飛びっきりの「才」だった。

著者プロフィール

  • 粕谷秀樹

    粕谷秀樹 (かすや・ひでき)

    1958年、東京・下北沢生まれ。出版社勤務を経て、2001年、フリーランスに転身。プレミアリーグ、チャンピオンズリーグ、海外サッカー情報番組のコメンテイターを務めるとともに、コラム、エッセイも執筆。著書に『プレミアリーグ観戦レシピ』(東邦出版)、責任編集では「サッカーのある街」(ベースボールマガジン社)など多数。

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