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リバプールとバルサ、CLベスト16入り マンチェスター・シティは「賞味期限切れ」か (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki

【グアルディオラの采配も裏目に】

 モッタがバルサでプレーしていた頃、イタリアにはウイングの文化がなかった。ウイングつきの4-3-3で戦うバルサとイタリア勢とは、水と油同然の関係にあった。その傾向はいまなお少なからず残っている。ユベントスも例外ではない。たとえば、マッシミリアーノ・アッレグリ元監督は5バックになりやすい守備的な3バックを好んだものだ。

 だが、モッタは違った。19歳のケナン・ユルディズ(トルコ代表)と21歳のフランシスコ・コンセイソン(ポルトガル代表)を、左右の両ウイングに据えるバルサ的なサッカーで、同じくまさにバルサ的なマンチェスター・シティに対峙した。

 結果は2-0。軍配はモッタ率いるユベントスに上がった。

 CL優勝3度を誇るグアルディオラが、初めてCLで采配を振る後輩監督に敗れる姿は、番狂わせと言いたくなった。

 試合を終始優勢に進めていたのはバルサだった。ボール支配率は68対32に及んだ。前半39分、中央からイルカイ・ギュンドアン(元ドイツ代表)、ケヴィン・デ・ブライネ(ベルギー代表)とつないだボールを、アーリング・ハーランド(ノルウェー代表)が決めていれば、おそらく試合はすんなりマンチェスター・シティのものになっていただろう。ユベントスGKミケーレ・ディ・グレゴリオ(イタリア代表)の好セーブを褒めるべきか。決められなかったハーランドを責めるべきか。前者だろう。

 敗因は紙一重。マンチェスター・シティに運がなかった試合と捉えるのがフェアな見解だろうが、訴求力の高いサッカーをしたのはユベントスのほうだった。やはり、左右の両ウイングの若くていきのいいプレーには、瞬間、場がパッと華やくような新鮮なインパクトがあった。

 それこそがマンチェスター・シティに欠けている要素だった。見慣れてしまったサッカーなのだ。驚きがない。新たな発見がない。なにより選手自身がマンネリ化しているのではないか。選手にプレーする喜びのようなものが感じられないのだ。同じメンバー、同じ監督と長くやりすぎた弊害を見る気がした。

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