久保建英、日本人最多ゴール記録更新の必然 「スペイン人以上にスペイン人」のメンタリティを発揮

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 4月8日、レアル・ソシエダ(以下ラ・レアル)はヘタフェと対戦し、2-0で勝利を収めている。チャンピオンズリーグ(CL)出場権がかかった試合が続くなか、"一歩前に進んだ"と言える。

「完璧な試合」

 イマノル・アルグアシル監督も、ご満悦になるほどだった。

 ラ・レアルの久保建英(21歳)は、古巣相手の戦いで中心的存在だった。試合後、ゲームMVPにも選出された。そして、リーガ・エスパニョーラ史上日本人最多得点記録も更新している――。
 
 この日、久保は4-4-2の中盤ダイヤモンド型の布陣で、2トップの一角でプレーしている。右サイドに流れてボールを受け、そこから勝負する機会が多かった。左利きセンターバック、ジョン・パチェコからのロングキックを引き出し、カットインからミケル・オヤルサバルにパスを送るなど、どれもシュートに結びつかなかったが、相手に脅威=ストレスを与えていた。それは敵が相次いでファウルで対応してきたことでも歴然としていた。

ヘタフェ戦で今季6ゴール目を決めた久保建英(レアル・ソシエダ)ヘタフェ戦で今季6ゴール目を決めた久保建英(レアル・ソシエダ)この記事に関連する写真を見る 久保は、古巣ヘタフェのメンタリティを知り尽くしていた。
 
 ヘタフェは、いつものように5バックで守りを固めた構えだった。監督が代わっても変わらない伝統の"籠城戦"は、かなり攻めにくい。カウンターで出撃した時の迫力も十分にあるからだ。

 そこで久保は無理に攻めかからず、ジャブで相手の態勢を崩すように、ゴールに迫った。34分には相手に囲まれながら、引きつけて味方のミドルをアシスト。コンビネーションを使いながら、自らも機を見て仕掛け、ズレを作る。そして40分、右サイドを縦に切り込んで珍しく右足でクロスを送ってファーに合わせ、落としたボールにミケル・オヤルサバルが反応、VAR判定の末にPKとなった。

 このPKは、オヤルサバルが自ら蹴って外れた。しかし直後、チームは猛然と敵陣に入り、一度はボールを失うも、再び回収すると、そのボールをダビド・シルバが守備ラインを引き裂くようなスルーパスを入れる。これにブライス・メンデスが反応し、シュートはGKに止められたが、こぼれ球をオヤルサバルが押し込んだ。

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