旗手怜央が悔しくも見届けたカタールW杯。「個の力を発揮していた三笘薫の存在は目を引くものがあった」

  • text by Harada Daisuke
  • photo by Getty Images

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カタールW杯で感じた将来の課題/前編

スコットランドのセルティックでプレーする旗手怜央が、初めての欧州サッカー、欧州生活で感じた、発見、刺激、体験を綴っていく連載。残念ながら日本代表に選ばれなかったカタールW杯。本人は今大会をどう見ていたのだろうか。

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前田大然(右)らチームメイトのW杯でのプレーに、旗手怜央(左)は刺激を受けたという前田大然(右)らチームメイトのW杯でのプレーに、旗手怜央(左)は刺激を受けたというこの記事に関連する写真を見る

【W杯メンバーに入れず悔しかった】

 セルティックに加入して1年が過ぎた。

 充実した日々に、まだ1年かと思う気持ちもあれば、あっとういう間に1年を駆け抜けた気持ちもある。

 グラスゴーでの生活にも慣れた自分には、練習場の行き帰りにもちょっとした習慣ができた。自宅から練習場までは車で30〜40分ほどかかるのだが、行きは英語の勉強に時間を使っている。週に数回ほどオンラインでレッスンを受けているため、そこで出された課題に取り組んでいる。

 一方で練習を終えた帰りは、好きな音楽をかけてリフレッシュしたり、曲もかけずに考えごとをして過ごしたりしている。

 そのなかでは、カタールで行なわれていたワールドカップについて、自分の気持ちに向き合ったこともあった。

 カタールW杯に臨む日本代表のメンバーが発表された日は、リーグ戦が中断する前だったのもあり、リアルタイムで発表の瞬間を見届けたわけではなかった。それ以前に、メンバー発表前最後の遠征で出場機会を得られなかった自分が、選ばれることはないだろうと思っていた。

 ただ、いざメンバーが発表され、自分の名前がそこになかった時には、「やっぱりな」ではなく、こう思っていた。

「悔しいな......」

 W杯開催期間中はセルティックもオフを与えてくれたため、日本に帰国していたが、7月末から試合を戦ってきた身体を休めるため、日本代表のグループステージをリアルタイムでは視聴しなかった。

 でも、心境を整理できた今、振り返ると、疲れを取るという理由は半分だけで、残りの半分は悔しくて素直に試合を見ることができなかったのだと思う。

 だから、グラスゴーに戻ってから、改めて日本のグループステージ3試合をすべて見直した。時間が経ち、気持ちの整理もでき、日本の戦いを見ておかなければいけない、と感じたところもあった。それもあって、ラウンド16のクロアチア戦はリアルタイムで視聴した。

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