鎌田大地の適性を再確認したCLスパーズ戦。左サイドより1トップ下、日本代表のほうがストレスはなさそうだ (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by AFLO

居心地が悪そうだった左サイド

 3-4-2-1では2シャドーの左に位置する鎌田だが、5-4-1になると4の左として、タッチライン際付近まで張り出すことになる。相手ボールに転じると10メートル程度、左に移動するわけだ。

 そこで攻守が切り替われば、デル・ピエロが務めた4-4-2の左サイドハーフと、求められるものは同じになる。しかしそこに鎌田の適性はない。居心地が悪いのだろう。気がつけば、真ん中付近へ移動していた。

 鎌田の適性に最も近いポジションは、先の日本代表戦(アメリカ戦、エクアドル戦)でプレーした4-2-3-1の1トップ下になる。森保監督が布陣を4-3-3から4-2-3-1に移行したのも、"鎌田ありき"で考えたからに他ならない。だが、フランクフルトのオリバー・グラスナー監督は、そこに鎌田を据えようとしない。森保監督のように鎌田ありきで戦っているとは言えないのだ。

 CL初戦のスポルティング戦では、4-2-3-1を採用しながら、鎌田をその3の左に据えた。そしてこの時も、鎌田は自ずと真ん中に入った。守備的MFのような立ち位置で長い時間プレーした。

 3-4-2-1的な3-4-3で臨んだこの日のスパーズ戦も同様だった。守備的MFの高さまで下がってプレーする機会が目立ち、ポジションが判然としない選手になっていた。相手ボールに転じた瞬間こそ、5-4-1の4の左に戻ったが、マイボールの際、フランクフルトの左サイドはウイングバックが孤立することになった。フランクフルトは顕著な左右非対称に陥った。その結果、左サイドからの攻撃は全く機能しなかった。鎌田のシュートで終わった、先述した後半31分のプレーぐらいに限られた。

 4-2-3-1の1トップ下でプレーする鎌田が見たいとは率直な感想だが、たとえば、似たような癖を持つ香川真司や南野拓実との違いを挙げれば、守備的MFでも違和感なくプレーできることだ。さらに言うならば、センターフォワードに近いポジションでもプレーできる。

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