カタールW杯を前にじつは絶好調のネイマール。風間八宏の注目は「ボールと体を一緒に動かせる身体能力」 (2ページ目)

  • 中山 淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by Getty Images

ボールと一体化できる身体能力

 ワールドクラスと言われる選手は数多い。しかし、世界広しと言えど、そのなかで規格外とされる選手はそれほど多くは存在しない。近年では、クリスティアーノ・ロナウド(マンチェスター・ユナイテッド)とメッシ。その次の世代ではネイマール。そしてこれからは、エムバペやアーリング・ハーランド(マンチェスター・シティ)が、その類の選手に数えられるだろう。

 将来は伝説の選手として後世に語り継がれるスーパースターのひとりであるネイマールは、誰もマネできないような別格のボールテクニックが最大の魅力とされるが、それ以外の要素も含め、改めて風間氏にネイマールのすごみを聞いてみた。

「ドリブル、パス、シュートといった、ボールを扱う技術が注目されるところだと思いますが、その前に、ボールと体を一緒に動かせる技術、その身体能力に着目すべきでしょう。

 いくらボールテクニックがあっても、相手と対峙した時に自分の思いどおりに体を動かせなければ、持っているテクニックを最大限に生かすことはできません。

 体とボールが離れていない状態はもちろんですが、ネイマールは、ほかの人からは体とボールが離れているように見えても、じつは自分の距離感でプレーができている。つまり、その範囲が規格外に広く、なおかつ正確で速いので、対峙する相手は誤った判断をしてしまい、一瞬で置き去りにされてしまうという現象が起きてしまいます。

 ネイマールはまるでボールを手で持っているかのように、自由自在にプレーしているように見えますが、それはボールの動きと一体化できるだけの身体能力を兼ね備えているからこそ。だから狭いなかで細かい動きもできるし、広い場所では大胆に大きな動きのプレーもできる。その距離と時間に変化をつけることができるうえ、しかも同じ動きのなかからパスもシュートもドリブルも、正確かつ素早く使い分けられる。

 実際に対峙した選手は体感しているはずですが、おそらくネイマールが持っているレンジの広さは破壊的だと思います」

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