38歳の長谷部誠に気になる質問をぶつけてみた。今季の軸足は選手メインなのか、それとも指導者予備軍なのか

  • 了戒美子●取材・文 text by Ryokai Yoshiko
  • photo by Getty Images

長谷部は指導者へ順調な歩み

 立ち上がり、バイエルンの出足の速さに圧倒されたフランクフルトは、そのまま3分、11分と立て続けに失点した。

「昨シーズンからの流れで、ヨーロッパリーグで優勝してやっぱり多くの方が自分たちのクラブに注目してくれていると思う。そういうなかでこういう試合をしてしまったっていうのはすごく残念ではありますけど、まあただ、まだシーズンは長いので切り替えてやってきたいと思います」

 ひと息にここまで話し、次の質問を待った。

 長谷部に関して気になるのは、今年2月のシュツットガルト戦で腹部を強打して以来公式戦で1試合も先発出場がないこと、5年契約延長とはいえ今季かぎりでの選手としての引退の可能性を本人もカジュアルに認めつつあること。今季は指導者予備軍としての色合いが濃いのか、それともあくまでいち現役選手として見るべきなのか、ということだ。

「本当にすべてのトレーニングをやっていますし、コンディション的にはいい状態なので。もちろん、昨シーズンから出ている3人(3バック)はいい形でプレーしているので、自分はチャンスがきたらしっかりとそれを掴むように、とは考えています。

 ただ今日は自分が出て1失点してしまったので、ちょっとそのへんは悔やまれるところ。とにかく、自分がチームのために何ができるかを常に考えるのは、今までと変わらずやっています」

 一方で、長谷部はすでに指導者ライセンスBプラスを取得。今季は試合の合間に、フランクフルトのユースの練習に少し加わる予定もあるという。

「やっぱりメインは選手として集中してやりたいということで、チームともいろいろ話をしているんですけど。今年は選手に集中しながら、時間があればっていう感じで、ちょっとそういうところもやっていこうと思います」

 マルクス・クレシェSD(スポーツディレクター)やユースダイレクターらと話をし、詳細を詰めているところだそうだ。指導者として十分すぎるほどチャンスがある、順調な歩みだ。

 順調ですねと尋ねると、「どうですかね。まあ、やり方(指導者になるルート)は全然違いますけど」と、なんとも言えないといった答えだった。

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