久保建英、ダビド・シルバの控えからスタート。デビュー戦は「好プレーが目立つ」

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by AFLO

「久保のデビュー戦で輝いたのはカリカブル」

 スペイン大手スポーツ紙『アス』は、そう見出しを打っている。19歳のスペイン人FWジョン・カリカブルが貴重なゴールを決め、スポットライトを浴びた。エリア内で狼のような素早い反応のオーバーヘッドというプレーだっただけに、ひと際目立った。

 では、レアル・ソシエダに入団した久保建英のデビュー戦に輝きはなかったのか?

ひと回り大きくなったように見える久保建英(レアル・ソシエダ)ひと回り大きくなったように見える久保建英(レアル・ソシエダ)この記事に関連する写真を見る 7月23日、レアル・ソシエダはプレシーズンマッチでドイツのボルシア・メーヘングラードバッハと対戦している。結果は1-1だったが、前後半でGK以外すべての選手を入れ替えるなど、結果を問う試合ではない。特にスペインはドイツよりも1週間、開幕が遅いため、まだまだテストの域を出ないのだ。

 しかし、レアル・ソシエダのチーム構造は見えた。

 この日は4-4-2のフォーメーションで、中盤はダイヤモンド型を採用していた。これは昨シーズンも使っていたものだが、エースであるミケル・オジャルサバルがケガから復帰次第、4-3-3への変更もありうる。対戦相手や持ち駒次第で布陣を変えられるのが、彼らの強みだ。

 そして、基本的にはボールを大事にする。ボルシアMG戦でも、ビルドアップから前に蹴り込むことは少なかった。卓越したボールプレーヤーが多く集められているだけに、バックラインからも鋭い縦パスをつけ、中盤は短いパスをつなぎ、一気に相手を崩す。守備も積極的で、前からはめ込んでいく。スペイン国内でも屈指の能動的なプレースタイルだ。

 久保は後半から中盤ダイヤモンドの頂点、トップ下で出場した。攻撃を司る役目と言える。前半は元スペイン代表ダビド・シルバが担当していたポジションで、現時点ではこのポジションの「2番手」と言ったところだろう。

 ただし、焦る必要はない。36歳になるダビド・シルバがシーズンを通してフル稼働するのは難しく、力を見せることによって、シーズン後半のポジション確保につなげられるはずだ。

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