PSGの選手が観光気分ではなく、レッズ相手に本気となった理由。代表クラスでもミスすれば売却される「背水の陣」

  • 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by AFLO

ガンバ戦が最後のチャンス?

 最終ラインも、マルキーニョス以外は不透明だ。チェルシーから熱烈なオファーを受けるプレスネル・キンペンベは残留を希望しているが、提示額によっては売却の可能性も否定できず、ディアロの去就はその動き次第。

 また、現在秒読みとなっているライプツィヒ(ドイツ)のノルディ・ムキエレが加入すれば、セルヒオ・ラモスも控えに回る可能性があるうえ、放出候補のケーラーは本腰を入れて移籍先を探さなければならなくなるはずだ。

 今夏にヴィティーニャが加わったボランチは超激戦区。マルコ・ヴェラッティが軸となることは間違いないが、そのほかにもイドリッサ・ゲイェ、レアンドロ・パレデス、あるいは今回の来日メンバーから外れたアンデル・エレーラも控え、仮に残留すればワイナルドゥムとラフィーニャもいる。今回は右ウイングバックでプレーしているエリック・ジュニオール・ディナ・エビンベも、本来ボランチを主戦場とする選手だ。

 さすがに今回のツアーで才能を見せつけている16歳のウォーレン・ザイール=エメリがトップチームに残る可能性は低いと思われるが、本職がボランチのダニーロ・ペレイラがCBで固定されている現状を考えても、このポジションの人員整理は確実に断行されるはず。この2試合で、来日前にガラタサライ(トルコ)からオファーを拒否したゲイェのパフォーマンスが予想以上に高かったのは、そういう事情も影響していたのだろう。

 前線は、リオネル・メッシ、ネイマール、エムバペの「MNMトリオ」がレギュラー組で、トップ下もできるサラビアはサブとして残留の方向だ。2トップの控えは、20歳のウーゴ・エキティケのローン加入が決定したため、現在はイカルディとカリムエンドのどちらかが移籍する可能性が高まっている。

 いずれにしても、ヨーロッパ屈指の選手層を誇るPSGで居場所を確保することは、代表クラスの選手にとっても至難の業だ。そういう意味でも、当落線上にいる選手たちにとって、今シーズン最初の公式戦となるトロフェ・デ・シャンピオンの前に残された最後のアピールの場になる7月25日のガンバ大阪戦は、要注目。

 その試合では、新戦術の浸透具合に加え、ポジション争いの行方にも注目したい。

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る