PSGの選手が観光気分ではなく、レッズ相手に本気となった理由。代表クラスでもミスすれば売却される「背水の陣」 (2ページ目)

  • 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by AFLO

熾烈なポジション争いが勃発

 この試合で印象的だったのが、選手個々のコンディションが上向いていたことだ。高温多湿の気候により、トレーニングができる時間帯は夜に限られているという実情を考えれば、わずか3日間で目に見える変化が見て取れたことはポジティブな材料と言える。

 とりわけこの試合のスタメンを飾った11人のなかで、レギュラー組は昨シーズンの累積警告によって7月31日のトロフェ・デ・シャンピオン(フランス・スーパーカップ)を欠場するエムバペのみ。それ以外の10人は現段階における控え組ということもあり、新体制下のチームで生き残るためにも存在感を示さなければならない、という事情がプラスに働いているのかもしれない。

 今夏に就任したガルティエ監督は、過密日程のシーズン前半戦を乗りきるために同じレベルを保てる2チーム分の陣容で開幕を迎えたい意向を示し、そのために余剰戦力の売却を進めることも公言している。

 実際、オランダ代表MFジョルジニオ・ワイナルドゥムやドイツ代表MFユリアン・ドラクスラーを来日メンバーから除外。ワイナルドゥムは現在ローマへの移籍話が取り沙汰されているが、そのほかにも放出可能リストに名を連ねる11人におよぶ選手たちの去就は、夏の移籍市場が閉じるまでは予断を許さない状況だ。

 つまり多くの選手たちにとって、今回のジャパンツアーはお気楽な観光気分では過ごせない事情があり、現在のPSGでは各ポジションで熾烈なチーム内競争が勃発している。

「今日のケイロル(ナバス)は重要かつ決定的な仕事をしてくれた。ただ、最初に話したとおり、私はGKのポジションでも優先順位をはっきりさせるつもりで、彼にはセカンドGKとして私が期待していることを話している」

 ナバスとジャンルイジ・ドンナルンマというふたりのGKをローテーション起用した昨シーズンのマウリシオ・ポチェッティーノ監督とは違い、すでにガルティエ監督はドンナルンマを正GK、ナバスをセカンドGKとすることを明言している。

 当初はナバスの移籍も噂されたが、本人は現在の序列を覆す自信があるようで、残留の可能性は高い。そうなると、2試合とも途中出場したセルヒオ・リコは、今夏も移籍の道を模索することになる。

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