PSGフロンターレ戦で見えた光と陰。一番の仕上がりは35歳のメッシ、フル稼働が厳しいのは36歳のセルヒオ・ラモス (2ページ目)

  • 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

メッシの本気度が感じられた

 後半58分には、GKジャンルイジ・ドンナルンマを起点に見事なロングカウンターから2ゴール目を決めた。

 パスを受けたMFディナ・エビンベが右サイドをドリブル突破したあと、中央のメッシにつなぎ、メッシが左のスペースに走り込んだDFフアン・ベルナトにパス。ベルナトがメッシとのワンツーから入れたマイナスクロスをFWアリノー・カリムエンドがスライディングで合わせた、見事なコンビネーションプレーによる一撃だった。

 まだコンディションが上がらない選手が多いなか、とりわけ攻撃陣で目立っていたのが、メッシの仕上がりの早さだろう。

「MNMトリオ」のうち、遅れて新シーズンのトレーニングに合流したエムバペと、来日前に軽いケガを抱えていたネイマールがまだ3〜4割のコンディションであるのに対し、若手とともにチーム指導日から合流した35歳のメッシは、すでに6〜7割の仕上がり具合。調子のよさが、そのままパフォーマンスとして表れていた。

 振り返れば、加入初年度のメッシは周囲の期待を大きく裏切る格好でシーズンを終えている。キャリアで初めて移籍を経験し、新しいチームと新しい生活環境に適応するまでに予想以上の時間を要したことや、コロナ感染後に原因不明の体調不良が続いたことが、その主な要因とされる。

 それもあってか、名誉挽回を期す現在のメッシに昨シーズンのようなのんびりムードはない。オプション行使がなければPSGとの契約も今シーズンで終了するため、仮に2年連続の不振で終わってしまえば、それこそ来夏は再び難しい境遇に陥ってしまう。そんな背景を考えると、なおさら今シーズンのメッシは要注目になる。

 一方、新システム「3−4−1−2」の浸透具合は課題が山積。ガルティエ監督がコメントしたとおり、この試合ではいくつかの問題が浮き彫りになった。そのなかで特に問題視されるのが、幾度となく川崎に破られてチャンスを与えた守備面である。

 たとえば、前半9分と17分にマルシーニョが抜け出したシーンはその典型で、いずれもハキミとDFセルヒオ・ラモスの背後にあった広大なスペースを狙われたことから招いたピンチの場面だった。

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