久保建英に新天地レアル・ソシエダが寄せている評価と期待、そして課題は? (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Antonio Villalba/Real Madrid via Getty Images

マジョルカ時代と違う種類の競争が始まる

 一方、レアル・ソシエダは久保の技術、俊敏性、プレーの感性を高く評価してきた。久保サイドも、「ボールプレーを大事にするレアル・ソシエダでプレーすることで才能を爆発させられる」という確信があったのだろう。以前から交渉はあったが、タイミングが合わなかった。

 今回はレアル・ソシエダも主力アタッカーを大量(ウィリアン・ジョゼ、アレクサンダー・セルロト、アドナン・ヤヌザイ、ポルトゥ)に放出し、開幕に間に合わないケガ人も多い(ミケル・オジャルサバルなど)など、思惑が一致した。

 とはいえ、久保がレアル・ソシエダで定位置をつかむことは簡単ではない。攻撃主体に戦えるのはメリットだが、これまでの所属クラブと違う競争の難しさはあるだろう。たとえばマジョルカにおいては、久保のテクニック、センスはチーム一だったが、レアル・ソシエダには匹敵する選手がずらりといる。バスク地方のクラブだけに、パワーや献身性もある程度、求められる。ポジション争いをするなかで、自らを高める作業になるはずだ。

 もっとも、追い風も吹く。

 チームの平均年齢が24歳まで下がり、選手の入れ替わりも多いなかで、久保にとっては最高のスタートを切れる可能性がある。チームのフォーメーションは、4-3-3、4-2-3-1、中盤ダイヤモンドの4-4-2など、相手や自分たちの戦い方次第で変化するので、変幻なプレーを持ち味とする久保にはチャンスが多くなるだろう。サイドアタッカー、トップ下、ゼロトップ、インサイドハーフなど選手の組み合わせによっても、最適のポジションは変わってくるはずだ。

「どのポジションでプレーするか?」

 それが話題になるはずだが、レアル・ソシエダでは「どのポジションか」よりも、与えられたゾーンで、自分の役目をしながら周りと連係する仕事のクオリティが大事になる。ポジションを動かしながら、相手の逆を取って動き、コンビネーションで守備を崩せるか。つまり、「ポジションに囚われないプレー」が求められるだろう。

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