パリ・サンジェルマンを彩ってきたスーパースターたち。王様ズラタン、ピルロの後継者、ベッカムの引退も... (2ページ目)

  • 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by AFLO

最後はPSGで引退したベッカム

 本格的にチームの土台が整備されたのは、アンチェロッティ体制2年目の翌2012--13シーズン。とりわけ、ミランから加入したスウェーデン代表FW ズラタン・イブラヒモヴィッチとブラジル代表DFチアゴ・シウバのふたりは、チームのアイコンとしてPSGの実力と知名度を大きく向上させたクラブのレジェンドである。

 そして、将来の中心選手に育てるべく青田買いしたのが、当時ペスカラ(イタリア2部)から19歳で加入したMFマルコ・ヴェラッティ。ミランの大物ふたりに加え、イタリア国内でアンドレア・ピルロの後継者と評されていた若き至宝をPSGが獲得できた背景には、2011年に就任した元鹿島アントラーズのレオナルドSDとアンチェロッティ監督の存在があった。

 最終的にその夏の移籍市場でクラブが投資した金額は、前年から2400万ユーロも上回る総額約1億1100万ユーロ(約153億8000万円)におよんだ。

 そしてもうひとり、同シーズンの冬に加入した超スーパースターの存在も忘れられない。現役引退までの半シーズン限定でプレーした元イングランド代表MFデビッド・ベッカムだ。

 サッカーファンを超えた世界的スーパースターのベッカムがラストマッチで涙を流し、試合後のセレモニーで胴上げをされた映像は、当然ながら全世界に配信された。その効果は絶大で、PSGというフランスの首都クラブの名が世界に知れ渡るきっかけとなった。

 2013--14シーズンは、リーグ優勝に導いたアンチェロッティ監督がレアル・マドリードに引き抜かれ、フランス人ローラン・ブランが新監督に就任。3シーズン続いたブラン体制は、カタール資本化したPSGにとって最初の円熟期と言える。新戦力補強も、明らかに量よりも質に移行し、ピンポイント補強が目立った。

 ブラン体制初年度の夏に獲得したのは、ウルグアイ代表FWエディンソン・カバーニ、ブラジル代表DFマルキーニョス、フランス代表DFリュカ・ディーニュの3人。総投資額は、前年夏と同じ総額1億1100万ユーロにおよんだが、のちにクラブ史上最多得点記録保持者となったカバーニと現キャプテンのマルキーニョスを手にできたという点で、費用対効果は予想以上に大きかった。

2 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る