ネイマールにとって最後のチャンス。メッシ、エムパベとの微妙な関係でPSG残留か (3ページ目)

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon
  • 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

カタールW杯も残留の要因

 また、メッシ自身もネイマールを引き留めようとしている。彼とネイマールはここ7年、毎年スペインのイビザ島で一緒にバカンスを過ごしていた。しかし今年は別々だった。それは決して彼らの仲が悪くなったからではない。むしろその逆だ。

 メッシは、ネイマールがパリに残るための布石として、自分たちの仲がよすぎるのを世間に見せるのは得策ではないと考えた。そこでネイマールに「すべては俺が考える」と言い、今回は別なところで夏を過ごすよう指示したのだ。

 ネイマールのPSGとの契約は、7月1日を過ぎると自動的に2027年まで延長されることになっていたが、どちらも物言いはせず、契約は更新された。新監督のガルティエも、本心はどうかはわからないにしろ、会見では「ネイマールに対しては明確なビジョンがある」と述べている。

 もうひとつ、ネイマールがパリから動かない理由がW杯だ。キャリア最後となるかもしれないカタール大会。ネイマールは何が何でも頂点に立ちたいだろう。その4カ月前にチームを変わることは、決して得策ではない。ただし、大会後には何があるかはわからないが(私の個人的な考えでは、ネイマールもメッシもパリでキャリアを終えることはないと思う)......。

 PSGの新シーズンは7月5日にスタートした。ネイマールも「Back to work」というコメントとともに練習に励む姿を見せているし(メッシがそれに「いいね」をつけている)、自身のSNSではバカンス中もすごく練習したとアピールしている。

 ネイマールにとって、これが最後のチャンスだ。冒頭でも述べたように、30歳の彼にはもう時間がない。今、復活しなければ、彼は中途半端に有名な選手としてサッカーの歴史に名を残してしまう。

 PSGで力のあるところを再び示し、メッシ、そしてエムバペと共闘してCLを手に入れること。カタールではW杯を手に入れること。彼に背を向けてしまった者たちの心を取り戻すのに残された道はそれしかない。

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