ネイマールにとって最後のチャンス。メッシ、エムパベとの微妙な関係でPSG残留か (2ページ目)

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon
  • 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

カギを握るメッシの意向

 一時期、噂になっていた北米MLS(メジャーリーグサッカー)ということもないだろう。なぜなら今年の2月、ネイマールはブラジルでロナウドのポッドキャストの番組にゲスト出演したのだが、その時にこんなことを言った。

「アメリカで1年くらいプレーするのはいいかもね、少ししかプレーしなくていいし、年に3、4カ月のバカンスがあるから」

 これを聞いたMLSのトップ、ドン・ガーバーは不快感を示した。

「いくら有名でもキャリアの終わりの選手はいらない。リタイアしにくる選手は不要だ。我々はきちんとプレーする選手、そしてチームとリーグをリスペクトする選手を望む」

 おしゃべりのしすぎで、MLSでのネイマールのイメージは非常に悪くなってしまった。

 では結局、ネイマールはどうするのか。

 私は90%以上の確率でPSGに残ると思っている。そう思う何よりのカギはリオネル・メッシだ。PSGはメッシが移籍した1年前とはすっかり様変わりしてしまった。同じアルゼンチン人のマウリシオ・ポチェッティーノ監督は解任され、メッシの一番の友人だったアンヘル・ディ・マリアはチームを去り、SD(スポーツ・ディレクター)のレオナルドはおらず、GKケイロル・ナバスも移籍の可能性が高い。

 代わりにやってきた新監督クリストフ・ガルティエはフランス人、アドバイザーについたルイス・カンポスはモナコでキリアン・エムバペを発掘した人物だ。チームは南米カラーが消え、確実にエムバペカラーに塗り替えられようとしている。

 この変化は決してメッシにとって居心地がいいものではないだろう。チームは結果を出せず、友が次々と出ていき、エムバペがチームの王となり、フランス語はうまくしゃべれず、家族もパリになかなかなじまない。これでネイマールまでいなくなれば、メッシはパリでのモチベーションを失ってしまう可能性がある。

 エムバペはネイマールのことなどどうでもいい。いや、チームの規律を乱す彼のことを快く思ってはいないだろう。だが、エムパベにとってメッシはまだ必要だ。PSGがチャンピオンズリーグ(CL)を制するにはメッシの力は不可欠だ。いいプレーができるように、メッシはパリで幸せでなければならない。そしてそのためにはネイマールが必要なのだ。

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