南野拓実のモナコ移籍は都落ちではない。市場価値は2年半で倍増、攻撃の要・トップ下での起用が濃厚 (2ページ目)

  • 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by AFLO

南野のポジションはどこ?

 チームの方向性を決める人物のお墨付きは、新戦力として大きなアドバンテージになるはず。とりわけミッチェルSDは、混乱していた時期に現職に就くやいなや、ドラスティックな改革によってあっという間にチームを再建した実績があり、フロントからの信頼も絶大だ。

 そのミッチェルSDが就任直後から推進するのが、ライプツィヒ時代に自身が経験した縦に速いアグレッシブかつオフェンシブなスタイル。その第一歩が、2019−20シーズンの途中からモナコの指揮を任され、ポゼッション型のサッカーで成績を浮上させていたスペイン人ロベルト・モレノを即解任し、ニコ・コバチを新監督に招聘したことだった。

 もっとも、そのコバチは初年度にチームを3位に押し上げたものの、2年目はCLと国内リーグのやり繰りに大苦戦。シーズン途中に主力との関係を悪化させ、ミッチェルSDが彼の限界を感じた時点で解任を決断すると、そこで白羽の矢が立ったのが、今年1月から指揮を執るフィリップ・クレメント現監督だった。

 クレメント監督は、現役時代は1998年フランスW杯にも出場した元ベルギー代表DFで、指導者としては、伊東純也を指導したゲンク時代(2018−19)に1度、クラブ・ブルージュでも2度、ベルギーリーグのタイトルを獲得した人物。

 まだ48歳の青年監督ではあるが、クラブ・ブルージュでは2年連続でCLに出場し、いずれもグループステージで敗退したものの、昨季のホームでのパリ・サンジェルマン戦のようにトランジション重視のアグレッシブで攻撃的なサッカーを披露していた。

 そういう意味では、クレメント監督はミッチェルSDの戦略に沿った指導者であり、すなわち南野のプレースタイルとの相性もまったく問題ないと見ていいだろう。

 ただし、南野にポジションが確約されているかと言えば、そうではない。

 昨季終盤に破竹の9連勝を成し遂げた時の基本布陣は4−2−3−1。おそらく今季もそれが基本布陣となりそうだが、現状、南野がプレー可能な前線の4つのポジションは、いずれも相当な激戦区になっているからだ。

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