南野拓実のモナコ移籍は都落ちではない。市場価値は2年半で倍増、攻撃の要・トップ下での起用が濃厚

  • 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by AFLO

 かねてからメディアで報じられていた南野拓実のモナコ移籍が正式に発表された。現地報道によれば、契約期間は4年で、モナコがリバプールに支払う移籍金は1500万ユーロ(約21億円)プラス出来高ボーナス300万ユーロ(約4憶3000万円)。

 かつて2020年冬にザルツブルクからリバプールに移籍した際に発生した移籍金が850万ユーロ(現在のレートで約12億1000万円)だったことを考えると、リバプールに在籍した2シーズン半(サウサンプトンへのローン移籍期間を含む)で、南野の市場価値は約2倍の金額に化けたことになる。

移籍金21億円でモナコに移籍した南野拓実移籍金21億円でモナコに移籍した南野拓実この記事に関連する写真を見る もちろん、チャンピオンズリーグ(CL)やプレミアリーグの優勝候補の常連クラブからヨーロッパの5番目のリーグの有力クラブへの移籍なので、選手のキャリアとしては栄転とは言えないかもしれない。

 しかし今回の移籍金が示すとおり、出場機会が限定されていたリバプール時代においても南野が選手としての価値を上げたことは紛れもない事実。そういう意味では、ザルツブルク、リバプール、そしてモナコと、南野は確実にヨーロッパでのキャリアアップを遂げていると言っていいだろう。

 最大の注目は、27歳という脂が乗った時期に加入する新天地で、南野が引き続き選手としての価値を高められるかという点になるが、これについてはポジティブな要素がある。

 今回の移籍を主導したのは、2020年夏にモナコのSD(スポーツ・ダイレクター)職に招かれたポール・ミッチェルで、かつてはトッテナムやライプツィヒでも実績を残した慧眼の持ち主。その人物が、以前から南野に関心を寄せていたことを公言したうえで獲得したのだから、チーム戦略上、重要戦力として迎えられたことがはっきりしている。

「彼は何年も前から我々が知っている選手であり、ヨーロッパに来てからは、特にヨーロッパの大会でハイレベルな経験を積み、これまで数多くのタイトルも獲得している。彼が持つ勝者のメンタリティ、複数ポジションでプレーできる能力、代表チームの主軸選手としてのスタッツなどからして、我々のような若いチームの発展と目標達成に彼が貢献してくれることを確信している」

 南野の加入発表に合わせて、ミッチェルSDはそのようにコメントした。

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