森保ジャパンとチーム作りで大きな開き。W杯初戦のドイツは現在13戦無敗でさらに進化中

  • 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by AFLO

 森保ジャパンがパラグアイ(6/2@札幌)、ブラジル(6/6@国立)、ガーナ(6/10@神戸)、チュニジア(6/14@吹田)と国内親善試合を戦っていた頃、カタールW杯グループリーグ初戦で対戦するドイツは、イタリア、イングランド、ハンガリーとネーションズリーグ計4試合を戦った。

 結果は、3戦連続ドローのあとのイタリア戦で勝利し、4試合で獲得した勝ち点は6ポイント。2節を残した段階でグループ首位の座を伏兵ハンガリーに譲り、ドイツは勝ち点1ポイント差でグループ2位に落ち着いた。

イタリアからゴールを奪ったトーマス・ミュラー(右)イタリアからゴールを奪ったトーマス・ミュラー(右)この記事に関連する写真を見る たしかに結果自体は振るわなかったが、長いシーズンを終えた直後の4連戦は、どのチームも選手のコンディションやモチベーションのコントロールに苦しむといった、明確なエクスキューズがあった。

 とりわけ、トップクラスのクラブチームに所属する選手を多く抱える代表チームは、思うようなパフォーマンスを見せられなかった試合が各グループで続出。4試合で1試合も勝てなかったフランスやイングランドなどは、その典型例と言っていい。

 それを考えれば、今回の4試合でドイツが見せたパフォーマンスは上々の内容だったと言えるのではないだろうか。

 特に昨年8月にハンジ・フリック監督が就任して以来、格下相手の試合が続いたW杯予選と違い、今回はイングランド、イタリアといった強豪との公式戦を初めて経験できた。

 そのなかで、チーム戦術の再確認とブラッシュアップができたこと、W杯本番に向けたスタメン編成に見通しが立ったこと、そして新戦術のテストによってオプションに目途が立ったことは、カタールW杯本番を見据えた場合、チームを率いるフリック監督にとっては実り多き4連戦になったと思われる。

「4試合目にあのようなパフォーマンスを見せてくれた選手たちに敬意を表する」とは、5−2で勝利したイタリア戦後のフリック監督のコメントだが、実際この試合のドイツは、フリック監督が標榜するサッカーを見事に実践。代表経験の浅い選手を中心に世代交代を進めるイタリアを圧倒して見せた。

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