旗手怜央が明かすセルティックのリーグ優勝。「大合唱、花火、発煙筒...圧巻の光景」に欧州でのプレーを実感

  • text by Harada Daisuke
  • photo by Getty Images

言葉では言い表せないサポーターの雰囲気

 リーグ最終戦で、凱旋試合でもあった5月14日のマザーウェル戦は、メンバー入りしなかったけど、優勝を決めた僕らを出迎えようとセルティックパークに集まったファン・サポーターが作り出してくれた雰囲気もまた、すごかった。あれは言葉では言い表せない。

 試合後にはセレモニーが行なわれ、チームメートや日本人選手同士でお互いを労い合った。クラブのスタッフから、ファンの人たちが寄せ書きしてくれた国旗を手渡されて、それをまとってスタジアムを歩いたけど、粋な計らいがうれしかった。

 家族がいるチームメートは子どもと一緒に記念撮影などをして、楽しそうに過ごしていた。独り身の自分は時間を持て余し、表彰台に腰掛け、みんなが喜んでいる姿を眺めていた。

 その時、ぼんやりと、ここまでの日々を振り返った。

 フロンターレでプロになった時も、最初からすべてがうまくいったわけではなかったな、と。セルティックがそうだったようにフロンターレも、チームとしてもがきながら、一歩ずつタイトルに近づいていったことを思い出した。

 個人としても、加入1年目からレギュラーの座をつかめたわけではなかった。先発での出場機会を多く得られるようになったプロ2年目も苦しんでは成長し、もがいては成長することで、今の自分はあるのだと思い出した。

 海外でのプレーはうまくいくことよりも、うまくいかないことのほうが多い。そう決意してグラスゴーに来たけど、セルティック加入初年度でリーグ優勝に貢献できたのは、それまでの日々が決して無駄ではなかったという証にもなる。

 まだまだ騒いでいるみんなの姿を見ながら、スコットランドに来てからももがき続けた5カ月間を振り返っていた。
(後編「セルティックで感じた日本との違い」に続く>>)

旗手怜央
はたて・れお/1997年11月21日生まれ。三重県鈴鹿市出身。静岡学園高校、順天堂大学を経て、2020年に川崎フロンターレ入り。FWから中盤、サイドバックも務めるなど幅広い活躍でチームのリーグ2連覇に貢献。2021年シーズンはJリーグベストイレブンに選ばれた。またU-24日本代表として東京オリンピックにも出場。2021年12月31日にセルティックFC移籍を発表。今年1月より、活躍の場をスコットランドに移して奮闘中。3月29日のカタールW杯アジア最終予選ベトナム戦で、A代表デビューも果たした。

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