カタールW杯で日本の脅威となるスペインのポジショナルプレー。一瞬の隙を逃さずに奪ったゴールシーンを振り返る (2ページ目)

  • 篠 幸彦●文 text by Shino Yukihiko
  • 西村知己●イラスト illustration by Nishimura Tomoki

Answer
数的優位でフリーになったコケへ縦パスを入れ、そこから先手の展開でゴール

 ダニ・オルモが、立ち位置によってチェコの守備に歪みを生み出し、それを起点にスペインが崩したシーンである。

マルティネスは中盤でフリーになったコケに縦パスを入れ、スペインはそこからの展開でゴールしたマルティネスは中盤でフリーになったコケに縦パスを入れ、スペインはそこからの展開でゴールしたこの記事に関連する写真を見る チェコは3-4-3のシステムで、ミドルサードではスペインのサイドバックをウイングバック、中に入った3トップを3センターバック(CB)、インサイドハーフの2人を2ボランチ、アンカーに対してセンターフォワードが下りて、CBをウイングが絞って見る形となっていた。

 コンパクトな守備でスペインにプレッシャーをかけていたチェコだったが、このシーンでは守備で戻っていたスペインのダニ・オルモが中盤に残っていて、それをチェコのCBのダヴィド・ズィマが前に出てマークできなかった。これで中盤左サイドにスペインの数的優位が生まれた。

 ここでコケを見ていたソーチェクは、ダニ・オルモに右脇に立たれたことで、2人の間で中途半端な対応を取る形となった。そこをうまく使ったのがコケである。コケは中央の空いたスペースでパスを呼び込み、マルティネスはそこへ縦パスを入れた。

 この時の前線のアセンシオのポジションもポイントだ。

 アセンシオは3バックの脇にできるスペースを狙える位置にポジションを取り、コケにパスが入った瞬間に走り出した。そしてコケからのパスでペナルティーエリア深くまで進入し、ヴァーツラフ・イェメルカを釣り出してできたゴール前のスペースにパス。カルロス・ソレールが走り込んでフィニッシュとなった。

 それまでチェコがうまく守ってカウンターを狙っていたのだが、スペインが一瞬のポジション優位で見事に崩した先制点だった。

 カタールW杯の第3戦で当たる日本は、こうしたスペインの巧みなポジショナルプレーに対応しつつ、勝機を見出さなければならない。

◆【動画】UEFAネーションズリーグ スペインvsチェコ ハイライト
(スペインの先制シーンは1分22秒~2分15秒)

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