スペイン代表は欧州でもトップのボール支配率で相手を圧倒。カタールW杯で日本代表につけ入る隙はあるか

  • 髙橋智行●文 text by Takahashi Tomoyuki
  • photo by Getty Images

70%のボール支配率と決定力不足

 スペインはカタールW杯予選を8試合6勝1分け1敗の勝ち点19で首位通過し、12大会連続通算16回目の出場を決めた。今回の代表で際立つのは、ルイス・エンリケ監督が10代や東京五輪世代の選手たちを積極的に起用し、若返りに成功していることだろう。

 またターンオーバーの多さも大きな特徴のひとつと言える。W杯予選では1試合平均5人以上先発メンバーを代えていた。

 毎試合選手が大きく入れ替わりながらも、お家芸である高いボール支配率を遜色なく維持できるのがスペインの強みである。実際、W杯予選でのボール支配率の1試合平均は70.9%で、ドイツと並び参加55カ国中トップ。

 一方、慢性的な課題である決定力不足は相変わらずで、総得点わずか15で55カ国中20番目と、予選を突破したチームのなかでは少なかった。

 このような状況のなか、今月からスタートしたネーションズリーグ・グループリーグ4試合に、ルイス・エンリケ監督は25人を招集した。バルセロナから最多6人が名を連ね、とくにアンス・ファティ(バルセロナ)が2年半ぶり、マルコ・アセンシオ(レアル・マドリード)が 1年半ぶりにメンバー復帰したことが注目となった。

 4試合ともいつもどおりの4-3-3で臨んだが、序盤は不安定な戦いぶりを露呈し、ポルトガル(ホーム)、チェコ(アウェー)との最初2試合に引き分けた。しかしその後、スイス(アウェー)、チェコ(ホーム)に連勝。成績は2勝2分、6得点3失点の勝ち点8で、グループリーグ首位に立っている。

 試合を消化していく過程で、ワールドカップに向けたスタメン候補が徐々に明らかになっており、現時点ではポルトガル戦とスイス戦の先発組がレギュラーに近いと言えそうだ。

 ポルトガル戦の先発メンバーは、

GK/ウナイ・シモン(アスレティック・ビルバオ)

DF/セサル・アスピリクエタ(チェルシー)、ディエゴ・ジョレンテ(リーズ)、パウ・トーレス(ビジャレアル)、ジョルディ・アルバ(バルセロナ)

MF/カルロス・ソレール(バレンシア)、セルヒオ・ブスケツ(バルセロナ)、ガビ(バルセロナ)

FW/フェラン・トーレス(バルセロナ)、アルバロ・モラタ(ユベントス)、パブロ・サラビア(スポルティング)

 スイス戦ではカルロス・ソレールに代わりマルコス・ジョレンテ(アトレティコ・マドリード)がスタメン入りしていた。

 またこれらのメンバーに、今大会で評価を著しく上げたアセンシオ、招集されながらもケガ明けのため出番のなかったアンス・ファティ、ケガで招集外だったペドリ(バルセロナ)、ジェラール・モレノ(ビジャレアル)、ジェレミ・ピノ(ビジャレアル)、ミケル・オヤルサバル(レアル・ソシエダ)などの攻撃の選手たちや、直前のケガによりディエゴ・ジョレンテと入れ替わった、本来レギュラーのエメリク・ラポルト(マンチェスター・シティ)が食い込んでくる可能性が高い。

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